自分たちの身近なところにある病気(病原菌)と、それが人々に影響する心理状態がまさに「それ」なのではないか。
人を通して伝染し、力を増しながらそっと人間社会を包囲する恐怖。
「エイズ」を考えると深くなる。
人間の動物的な衝動は、それがゆえに 脳みそが発達し動物ピラミッドの頂点に立ったともいえる人間にとっても、動物に還る瞬間と言えるかもしれない。さらに、その快楽からくる幸福は「愛」や、時にはそれと対峙するものと結びつきやすい。
それほど 身体と感情が密接に関わっているので、その影に隠れたエイズは人間の理性を超えたところに潜んでいて怖いのだと思う。
この状態を濃縮して、パラノイアな雰囲気を漂わせたのが「遊星からの物体X」で、個人間の疑心暗鬼からくる心理効果を引いたのが「イットフォローズ」ではないかと思った。
また「物体X」では、キャスティングを男性だけにしたのも面白く、ここに男女間(観)の違いをみることはできるだろうか。
さらに、「物体X」と「イットフォローズ」のフライヤーの広告コピーが類似していたのは、わざとなのか偶然なのか気になった。
「The thing」と「It」は両方とも「それ」に訳せるけど...
ところで、「物体X」では、「それ」が宇宙からきたというのが面白かった。個人的には、設定は全く違うけどキューブリックの「2001」のモノリスを少し連想した。
生物誕生の由来は地球ではなく宇宙にある、という学者もいるくらいなので、そういう考え方が私にとってすごく好きな映画だった。
mako