パズル 4 | chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

2021年1月。嵐さんの休業を機に、妄想小説を書き始めました。
主役は智くんで、メンバーも誰かしら登場します。ラブ系は苦手なので書けませんが、興味のある方はお立ち寄りください。

 

 

 

父親の急死は俺達5人の人生を変えた。

 

少なくとも俺を含めた下4人はそう思っているだろう。

 

5人も兄弟がいれば性格も色々だけど、一つ年上の兄だけ異人種と言う感じが

俺はずっとしていた。

 

小学生の頃から誰の影響かファッションやメイクに興味を持ち、長期の休みの時には

髪を染めたり、ネックレスをジャラジャラ付けたり、イアリングや指輪をしていた。

ファッション雑誌もたくさん買ってモデルの真似をしたり、友達も似たような子達が集まってきて

俺は兄の友達が来ている時は家にいないようにしていた。

 

高校生になって比較的自由な学校に行ったせいもあって、念願のピアスを付け始めた。

バイトも始めたけど殆どがファッション代に消えた。

 

でも、その前から兄の遊ぶお金が何処から出ているのかが不思議だった。

母を早くに亡くしてずっと父子家庭で貧乏だったのに、兄はいったい何処から

そんなお金を得ていたのかこれは未だにわからない。

父に出せる筈はないし、バイトも高校に入ってからだ。

金のなる木でも持っていたのかと本気で思ってしまう。

 

 

そんなだから俺とは合う筈もなく、ごく小さい時を覗いては一緒に遊んだ記憶はない。

小学4年生頃にはもう一緒に歩くのも恥ずかしかった。

 

ただ一つだけ助かっていたのは料理だ。

たいてい父が作ってくれたけど、帰りが遅い時や父の体調が悪い時は兄が作ってくれた。

手先が器用と言う事もあって料理は上手だった。

俺も作れない訳ではないけど弟たちは正直で、兄の作ったものはおいしそうに食べるのに、

俺が作ったものは残す。そのうち今日は俺が作るとわかるとコンビニに行って弁当を買って

来るようになった。だから俺も自然と作らなくなる。

 

 

そんな生活の中で父が突然亡くなった。

過労が原因だった。子供達が大きくなるにつれてお金もかかるので昼も夜も働いていたらしい。

 

それを知った時に俺は兄を責めた。

 

「兄さんのバイト代を家に入れていればこんな事にはならなかったのに…」

 

「父さんが死んだのは俺のせいだって言うのか」

 

いつになく冷静に話す兄に俺は余計に怒りが込み上げてきた。

 

「そうだよ。そんなチャラチャラした格好をして仕事も何だかよく分からないことを

 やっているし、もっとまじめに働いていれば父さんだってこんな死に方をする事は

 なかったんだよ」

 

「翔、何を言おうと自由だけどな、俺の仕事にだけは口出すな。

 お前にはわからないだろうけど立派な仕事なんだよ。遊びでやっている訳じゃない」

 

そう言った時の兄の顔が凄く怖かった。

 

でも、俺は間違った事を言ったとは思っていない。

 

葬式の時もピアスを外さなかったし、髪の毛も普段は金髪に近いのを葬式の為に染めたけど

黒ではなくて茶髪。この時も言い争いになった。

 

「なんで黒にしないんだよ」

 

「これでも十分地味だろう。黒から元に戻すのは大変なんだよ。

 このくらいなら暫くは我慢できる」

 

「だけどピアスは外してよね」

 

「それは出来ない」

 

「なんで」

 

「俺はピアスはずっとつけっぱなしにしてるんだよ。

 そんなに派手なのは付けないから大丈夫」

 

「いい加減にしろよ。兄貴は喪主なんだよ」

 

「だったら翔が喪主をやれば良いだろう。何も長男がやる決まりはないだろう」

 

余りにも自覚がなさすぎる兄に腹の立てっぱなしだった。