続・付き人奮闘記 70 | chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

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2021年1月。嵐さんの休業を機に、妄想小説を書き始めました。
主役は智くんで、メンバーも誰かしら登場します。ラブ系は苦手なので書けませんが、興味のある方はお立ち寄りください。

 

 

 

最初は潤から連絡が入って、

 

「隼人の家に警察が来た」と知らされた。

 

部屋に色々な人が出入りしているのを同じマンションの人が不審に思って

管理人にしらせたのがきっかけらしい。

でもそれだけでは罪にはならないし、警察も話だけ聞いて帰った。

 

 

ところがそれから数日後、仲間の一人が万引きで捕まった。

そこで隼人の家に家宅捜索が入った。

部屋からは万引きしたと思われるものが幾つか出てきた。

それで隼人を含む全員が警察に連行された。

 

俺がそれを知らされたのは翼が前半の大事なシーンを撮っている最中だった。

隼人の事が気になるけど、そっちは相葉くんの仕事だ。

相葉くんと頻繁に連絡を取り合いながら様子を聞いていた。

 

どうやら隼人は万引きはしていないことは、一応証明されたらしい。

でも隼人の部屋にあったのだし、彼らと一緒にいたのだから知らなかった筈はない。

最初は否定していたけど警察の追及の末、とうとう認めた。

 

万引きは立派な犯罪。それを知って匿っていた隼人も罪になる。

 

 

隼人はその日のうちに一応帰れたけど、居場所をはっきりしておくように言われた。

隼人のマンションは入れないし、相葉くんには家庭がある。

それと隼人を一人にさせておくのも心配だったので、隼人の実家に連れて行ってもらう事にした。

 

隼人は当分謹慎。

仕事の方は朝のバラエティーはテレビ局から降板を申し入れられて承諾。

クイズ番組とラジオの方は自ら降りた。

 

バラエティーの方はさすがに対応が早くて、まだ隼人の心の整理が付いていない時に言われたけど動揺はしていなかったという。恐らく自分から申し入れる筈だったのだろう。

だから他は自分から降りた。

 

まだ正式な罪も決まっていなかったし、刑務所へ行くことはないとしても暫くは仕事は難しいだろう。

 

 

俺は一連の話を聞いて、隼人は勿論だけど相葉くんの事が心配だった。

マネージャーになってまだ数か月。最初に付いたタレントでこんな事件が起きた。

 

なるべく相葉くんとは連絡を取り合うようにしていた。

 

 

そんな様子に当然翼も気にする。

 

「大野さん、隼人に付いていてあげて」

 

「大丈夫だよ。俺は今は翼のマネージャーだからね」

 

「でも……」

 

「それに向こうには相葉くんがいる。今俺が出しゃばったら相葉くんが自信をなくす。

 それが一番怖いんだ。勿論、連絡は常に取っているから翼は心配しなくて良いよ」

 

 

ただでさえ大事な撮影の真っ最中。

余計な事で心を乱されて欲しくない。

 

それでも隼人の一件以降マスコミの数も増えた。

それは翼に対する質問の他に、俺への質問も入っている。

 

 

「隼人さんとは連絡は取ってますか」

 

「電話で話はしましたが、大した話はしてません。

 殆ど向こうのマネージャーに任せていますから」

 

「隼人さんのマネージャーは相葉さんですよね。それもマネージャーになったばかりです。

 彼にも責任があったとは思いませんか?」

 

「そんな事は思っていません。相葉くんはほんの数カ月しかまだやっていません。

 責任があるとすれば私でしょう」

 

余計な事を言ったかと思ったけど、ただでさえ責任を感じている相葉くんにこれ以上は

責めて欲しくなかった。それに隼人に付いていたのは明らかに俺の方が長い。

遊び仲間がたむろしているのを知りながら、もう大人なのだからと放って置いた。

 

その後、隼人は警察の取り調べで、彼らとは居酒屋で偶然に会って親しくなった事や、

仲間を家に引き入れるようになったのは仕事がうまく行かないし、誰も相手をしてくれなくて

イライラしていたと話したそうだ。

 

20代後半にもなって何を甘えているのだという言葉もあった。

だけど、俺はやはりこれは俺の責任だと感じた。

以前の俺だったら徹底的に隼人と向き合っていた。

仕事の不満でも何でも聞いていた。だけど圭吾が入って忙しくなった事でそれも出来なくなった。多分、圭吾が入った事も不満だったのだろう。

新人が入る事は喜んでいた。だけど圭吾とは肌が合わないのかもしれない。

 

だからと言って許される事ではない。

相葉くんも落ち込んでいるし、一度隼人と話してみようと思った。

それも昔みたいにじっくりと腰を据えて話したいと思った。

 

その間は相葉くんに翼を頼もうと思った。

相葉くんも今度の事で自信をなくしている。このままだと辞めるかもしれない。

辞めて現役に戻るならそれでも良いけど、今の状態で現役には戻れないだろう。

 

結局、プロジェクトのメンバー5人と相談して、俺は5日間の休暇を取って隼人を俺の家に連れて行くことにした。隼人にも話したら「ゴメン」と言って泣き出した。

隼人の両親の話では警察の取り調べなどが続いて相当参っているみたいだと言う。

 

後は翼に話さないといけない。

このドラマの間はずっと付いていると約束したのに、それが僅か数か月で破る事になる。

 

「翼、5日間だけ我慢して。必ず戻ってくるから」

 

「5日間じゃ無理だよ。俺は心配ないからじっくり付いていてあげて」

 

「5日間あればだいたいの話は聞けると思う。そうすれば後は相葉くんに任せても平気だと

 思う。これは俺が残してきた宿題だから、それだけやり終えて戻ってくるから」

 

 

すべては相葉くんに引き渡す前に、隼人とじっくりと話し合わなかった俺の責任。

 

これを片付けて来ないと、せっかくの優秀なマネージャーを失う事になる。

それだけは避けたかった。