顔の見えない友達 22 | chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

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2021年1月。嵐さんの休業を機に、妄想小説を書き始めました。
主役は智くんで、メンバーも誰かしら登場します。ラブ系は苦手なので書けませんが、興味のある方はお立ち寄りください。

 

 

 

カズを連れ出したのは良いけど、こんなのはバレるのは時間の問題。

案の定、東京駅に着く前に翔くんからLINEが入った。

 

 

「智くん、カズくんと一緒でしょう」

 

「カズがどうかしたの?」

 

一応とぼけては見たものの

 

「防犯カメラに3人の姿が映ってるよ。

 家に帰るつもりなの?叔父さんにも連絡させて貰ったよ」

 

 

俺は潤にスマホを見せる。

 

「やっぱり家には帰れないね」

 

「じゃあ次の作戦だね」

 

そもそも簡単に家に帰れるとは思っていなかった。

両親だけなら説得できるかもしれないけど、叔父が絡むと難しい。

その為に幾つかの行き場所を考えていた。

 

「だけどうちが無理ならここも無理なんじゃないの?」

 

二番目は祖父の家。

 

だけど、ここが俺の考えでは一番安全だと思っている。

 

 

祖父と言っても二人いる。父親の親と母親の親。

果たして潤はどっちを考えているのだろう。

 

「潤はどっちのおじいちゃんだと思ってる?」

 

「どっちって一人しか知らないよ。

 母さんだってずっと会っていないって言っていたし…」

 

 

うちの両親は結婚する時に母方の両親から大反対されて、母は家出をして父と結婚した。

その後、連絡は取っていないと言っていた。

 

 

「俺がじいちゃんと言ったのは二宮のじいちゃんの方」

 

二宮は母の旧姓。つまり母方の祖父。

うちの家族の誰とも付き合いはないけど、実は俺だけは知っていた。

 

高校生の時に自分の家のルーツを調べる宿題があって、その時に二宮の家の方も調べて、

じいちゃんの居場所を知った。

 

祖母は既に亡くなっていて母は一人娘だったので他に子供もいない。

色々なツテを頼って何とか探し当てて会いに行った。

 

気難しい人だと聞いていたから追い出されるのを覚悟で行ったけど、

俺の顔を見た途端に、

 

「大野の長男か?」

 

「なんで知ってるの」

 

「俺の事を探している人がいると知らせてくれた人がいてな。

 話から多分大野の子供だろうと思ったんだ。

 それに顔が母親に似ている。確か名前はさとしだったよな」

 

「名前まで知っていてくれたの」

 

「当たり前だ。これでもお前達の祖父のつもりだ。

 長男が智、次男が潤、末っ子が和也だよな」

 

俺達兄弟の名前まで知っていてくれた。

 

「大野の家族とは音信不通になっているけど、色々と知らせてくれる人はいるんだよ」

 

それから話をするうちに、俺はこのじいちゃんが好きになった。

じいちゃんの方も俺が初孫と言う事もあってとてもかわいがってくれた。

それから何度か遊びに行っていた。

 

 

そして大学を決める時に俺はじいちゃんの家の近くから通える場所を拠点に大学を探した。

本当は同じ家に住みたかったけど、うちの家族が来たら色々と問題が起こりそうなので、

知られないように別の所にアパートを借りた。

 

それから今まで誰にも知られずに来たし、当分は知らせる気もなかった。

 

 

だけどこういう事態になってじいちゃんとも相談して、

俺は今まで内緒にしてきたじいちゃんの話を初めて潤にした。