地獄の学校【社会人編】 16 | chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

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2021年1月。嵐さんの休業を機に、妄想小説を書き始めました。
主役は智くんで、メンバーも誰かしら登場します。ラブ系は苦手なので書けませんが、興味のある方はお立ち寄りください。

 

 

 

ニノに雅也さんの事を聞かれて、松兄が話した最大の秘密?

 

「智、ヒロが入っているあの施設。可なり立派な所だよな。

 設備も良いし部屋も素敵だ。智が拘っただけある」

 

「うん。俺が日本中探し回ってやっと見つけたのだから…」

 

 

俺達が小さい時に両親が離婚して俺達は引き離された。

その後、ヒロは病気になった。その施設を俺が探した。

お金は子供の時からお小遣いやお年玉を貯めた。

それでも子供がどんなに頑張って貯めても大した額になる筈はなくて、

残りの分はうちの親父に話して出して貰った。

 

「本当はお金を出したのは親父さんじゃないんだ」

 

「え?」

 

「もう、そんな話はやめろ」

 

雅也さんが珍しく怒鳴った。

 

「松岡、そんな事を大野くんに話してどうするんだよ。

 彼を傷つけるだけじゃないか。絶対に言わないって約束しただろう。

 それとも、ここを辞めるからもうどうでも良いのか」

 

「雅也」

 

「もう良いよ。出て行くなら出て行けよ」

 

「わかった。ゴメンな、雅也」

 

松兄が出て行こうとする。

 

「松兄」

 

「智、心配することはないよ。恐らくお前は頭が良いから半分察しがついていたと思うんだ。

 だけどその正体がわからなかった」

 

「いつまで喋ってるんだよ」

 

「わかったよ(笑)。智、そう言う事だから心配するな」

 

「最後に雅也。元幹部として最後の情報。1年の菊池風磨。

 奴は要注意だ。目を離さない方が良い」

 

「菊池風磨?」

 

「智くん知ってるの?」

 

「この間、名簿の整理をしていて見つけた。1年生で既に3階にいる」

 

「1年で3階って首席入学?」

 

「ああ、そうだ。じゃあな。後はお前達が雅也を支えてやってくれ」

 

「待って、松兄」

 

俺の目の前で扉が閉まった。どうやっても開かない。

 

 

その時、雅也さんの声がした。

 

「松岡を捕まえろ」

 

「え!?」

 

俺とカメくんは驚いて雅也さんを見た。

 

全く表情のない顔をしていた。

 

「雅兄さん、松岡くんをどうする気?」

 

その時、「捕まえました」の声がした。

 

パソコンに画面が映し出されて、松兄が何処かに監禁されているのがわかる。

 

「何をする気だよ」

 

カメくんが喚いている。

 

「奴は裏切り者だ。ここから出す訳には行かない」

 

俺には雅也さんの顔が苦しそうに見えて仕方がない。

ついさっきまで凄く仲が良さそうで少し羨ましいなと思っていただけに、

突然の変化に驚いた。

 

 

ヒロの施設のお金は親父だけでは出せないのはわかっていた。

だけど親父は全額出したと言っていたけど、施設に確かめたら向こう10年分が支払われている事を知った。10年も先の分まで親父だけでは到底無理だ。

陰に誰かがいるのは感じていた。松兄かと思った事もある。

 

そうか、雅也さんだったんだ。

それを俺には絶対に知られたくなかったんだ。

 

 

俺が怒ると思ったのだろうな。偽善者ぶっているように思ったのかな。

雅也さんの事をよく知らなければそう思っていたかもしれない。

でも今は感謝しかない。

だって一生懸命さがわかるから。何に対しても全力で真っすぐで少しだけ不器用で、

それでも自分の信念は何があっても曲げない。

 

だから松兄も引き留めたんでしょう。

松兄のお店の方は雅也さんがどうにかしてくれるんだよね。

 

一見、お金で解決しているように見えるけど、そうではない。

俺には雅也さんの気持ちがよくわかる。

 

 

だからこそ、松兄も簡単に捕まったんだ。

松兄の体力があれば簡単に捕まるなんてあり得ないもん。

 

 

さあ、これからどうなるのかと思ったら、

 

「二人も再び俺の監視下に置く」

 

「え?どういうこと?」

 

「松岡と繋がっているからだよ」

 

監視下でも俺は別に構わない。

でもカメくんには通じるかな。どっちも頑固だからな。

 

部屋の大画面に要注意人物として、松兄の名前が映し出された。

そして、松兄が残して行った謎の男、菊池風磨の名前も…。

 

ちゃんと松兄の言う通りにしている。やっぱりこの二人は心で繋がっている。

きっと兄弟以上に…。

 

 

 

今回は前と違って訳の分からない恐ろしさはない。

今の俺は雅也さんを信じているから。

この人の傍にいれば大丈夫だと思えるし、色々と勉強になるとも思う。

 

 

 

「大野くん、和也、1年生から3年生までの全生徒の名前をこのスクリーンに出して」

 

「はい」

 

俺はパソコンに向かったけど、カメくんが部屋から出て行こうとした。

 

「和也」

 

「俺はやらない」

 

「お前は俺の監視下に置かれているんだよ」

 

「だったら何でもすれば良いだろう」

 

 

雅也さんがボタンを押すと、カメくんの周りに壁が下りてきた。

一面だけ見えるようになっている。

 

「オイ、出せよ」

 

「何でもしろと言ったのはお前だよ」

 

カメくんは諦めて座りこんだ。

 

もう少しお兄さんの事を信じればわかるのに……。

 

兄弟だから難しいのかな。