世界エイズデーに向けて国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトにキャンペーンの特設ページが登場しました。
世界エイズデーは1988年に始まり、今年で30周年となります。UNAIDSは9月にその節目のキャンペーンテーマを《Know Your Status》と発表しました。「HIV感染の有無を知ろう」といったところですね。治療の進歩を踏まえて、検査のメリットを強調したいという意図は分かりますが、個人的にはちょっと言葉足らずというか、生煮え感もぬぐえない印象でした。
UNAIDSのキャンペーン担当者もそう感じていたのかもしれませんね。11月に入って特設ページができた時点では、少し補足され《Live Life Positively, Know Your HIV Status》となっています。
私の個人ブログで恐縮ですが、主要メッセージを含め、日本語仮訳で一部を紹介しました。こちらです。
http://miyatak.hatenablog.com/entry/2018/11/20/223434
テーマは『ポジティブに生きる HIV感染の有無を知ろう』と訳しました。残念ながらLiveとLifeが重なるあたりのニュアンスがうまく出ていません。妙訳があればお教えください。
それはともかくとして、改訂版のテーマは《治療の進歩→早期検査→陽性者としての生活の充実と予防への効果》という検査推奨の狙いがより明確に示されています。
・検査はHIVの治療、予防、ケア、支援のサービスを受けるためのエントリーポイントです。
・HIVに感染していることが分かれば、HIV予防のための選択もできるようになります。
その通りだと思いますが、同時にUNAIDSは「5つのC」の重要性も強調しています。検査実施に際して留意すべき以下の5点で、Cが頭文字の単語を並べています。
Consent 同意
Confidentiality 個人情報保護
Counselling カウンセリング
Correct test results 正確な検査結果
Connection コネクション(予防、治療、ケアのサービスにつながること)
第一原則ともいうべき「Consent」には次のような説明がついています。
『HIV検査を受けるかどうかは本人の選択です。HIV検査の機会はすべての人に保障されなければなりません。ただし、検査を受けるかどうかは個人の自発的な判断に基づくものであることが大切です。HIV検査を勧められた人には、インフォームドコンセントが必要です。HIV検査のプロセスや結果の確認、結果が出た後に利用できるサービス、いかなる条件のもとでも検査を拒否する権利があることなどが情報として伝えられていなければならないということです。検査を義務付けたり、強制的に検査したりということは、医療提供者、パートナー、家族、雇用主、法執行機関の職員など、どのような立場の人からのものであっても、適切ではありません』
検査の普及に熱心なあまり、ここを外しちゃダメでしょうという感じですね。第32回日本エイズ学会学術集会・総会でも、検査普及はひとつの大きな焦点です。国際的な基本原則は踏まえたうえで、日本に適した議論が展開されることを期待したいと思います。
「5C」については、YouTubeのアニメ動画も付いています。1分ちょっとなので「どれどれ」という感じでご覧ください。