公益財団法人エイズ予防財団の白阪琢磨理事長が1114日午後、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見を行いました。テーマは《「HIV/エイズ」治療はどこまで進んだか》です。

 

 日本記者クラブの公式サイトには不肖・私の会見リポートも掲載されました。ほんのさわりの部分しか紹介できていませんが、白阪理事長の発言の趣旨を大きく逸脱したものではないとひそかに思っています。こちらでご覧ください。

 https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/35237/report

       

     (日本記者クラブ提供)

 

 YouTube の会見動画(約55分)も見ることができます。司会の不手際は大目にみつつ、お手すきの折にご覧いただければ幸いです。

 

 このブログを読まれる方には改めて説明するまでもありませんが、白阪理事長は1224日に大阪で開かれる第32回日本エイズ学会学術集会・総会の会長でもあります。その関連でU=Uキャンペーンにも言及されました。

 

 U=Uは「HIVに感染している人(HIV陽性者)が治療を続け、体内のウイルス量が検出限界値未満という極めて少ない状態に抑えられ、さらにその状態が維持されれば、HIV陽性者から他の人に性行為でHIVが感染するリスクは実質的にない」というメッセージです。

 

記者会見の会場には、日本社会に適したかたちでのU=Uキャンペーンを目指し、活動を開始したU=U Japan Projectの呼びかけ人の方もお見えだったので、ご発言をお願いし、キャンペーンに関する貴重な見解をうかがうこともできました。詳しくは動画の後半部、35分を過ぎたあたりからご覧ください。

 

以下は会見リポートに書いた私の感想ですが、『もちろん、U=Uは重要なメッセージではあるが、その結果として、HIV/エイズを含む性感染症の対策としてセーファーセックス(より安全なセックス)のメッセージをおろそかにしていいということにはならない。予防対策は様々な選択肢を組み合わせつつ効果の最大化をはかる必要があるからだ』といった視点も忘れないでおきたいと思います。

 

また、米国の疾病予防管理センター(CDC)が今年8月に公表したファクトシートなどには『様々な事情から治療による検出限界値未満の維持が困難なHIV陽性者もいる。治療の成果を強調するあまり、そうした人たちへの偏見や差別が逆に強まるような事態を避ける必要もある』という課題も指摘されています。

こうした点に関しては「キャンペーンの趣旨をしっかり理解できていないのではないか」ということで異なるご意見があるかもしれません。

 

 『U=Uを含む治療の成果を社会的な理解にどうつなげていくか。エイズ学会および、同じ大阪で時期をあわせて開催される1212日の世界エイズデー【一般公開HIV/エイズ啓発特別イベント】では、HIV陽性者やNPO、臨床医、研究者らがそれぞれの視点から充実した議論を展開していくことを期待したい』

 

 皆さんも、積極的に議論にご参加いただくよう、よろしくお願いします。