ウサギの繁殖・販売ケージめぐって論争 環境省の基準案「狭すぎる」 | トピックス

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2026年7月13日 朝日新聞

 

 ウサギを繁殖・販売するときの飼育ケージは、どのくらいの広さが必要なのか――。環境省が示した案をめぐって動物愛護団体から「狭すぎる」「身動きがとれない」などと疑問の声があがり、議論を呼んでいる。 

 

繁殖業者のもとで飼育されているウサギたち。すれ違える程度の広さしかないケージに入れられている=埼玉県、太田匡彦撮影(朝日新聞)

 

【写真】環境省が管理基準の改正案と共に示した、ウサギの頭胴長の測り方を解説するイラスト 

 

 議論になっているのは、ペットショップや繁殖業者の飼育環境のあり方について環境省が定めた「飼養管理基準」の改正案だ。環境省の省令で、悪質業者の改善・淘汰(とうた)をめざして2021年に施行された。

 

  管理基準では、犬や猫の飼育ケージの面積などについては数値基準が盛り込まれているが、犬や猫以外の哺乳類についてはあいまいな基準しかない。そこで環境省は管理基準を改正し、ウサギやハムスター、モルモットについても具体的な数値基準を設ける方針だ。 

 

■ペット業界は歓迎、動物愛護団体は

 

  環境省が示した改正案では、鼻先から尾の付け根までの「頭胴長(とうどうちょう)」を基準に、ウサギのケージは縦が2倍以上、横は1・5倍以上とする。

 

  たとえば、頭胴長が30センチのウサギであれば、縦60センチ、横45センチ、面積でいえば2700平方センチメートルで基準を満たす。新聞1ページより少し大きい程度だ。

 

  繁殖させるためにつがいで一つのケージに入れる場合は、2匹分で5400平方センチメートルになるが、生まれる子ウサギは何匹いても面積には考慮されない仕組みだ。

 

 ペットショップチェーンや繁殖業者など全国約1500社が加盟する公益社団法人全国ペット協会は「動物たちをめぐる環境がよりよくなることが期待できる」(赤澤暁昌・事務局長)と歓迎姿勢を示す。

 

  しかし、犬や猫以外の哺乳類の商取引に詳しい動物愛護団体PEACEの東さちこ代表は「ウサギのケージの狭さに驚いた」。ケージにはトイレやエサ皿、給水器を置く必要があり、「改正案の通りになれば、ウサギはほとんど身動きがとれない。縦横とも頭胴長の3~5倍は必要だ」と指摘する。 

 

■頭胴長は「2倍に伸びる」

 

  環境省が示した頭胴長の測り方にも疑問が出ている。

 

  解説用に描かれたイラストでウサギは背を丸めた姿勢をとっているが、神奈川県動物愛護協会の山田佐代子会長は「リラックスしたときのウサギの頭胴長は2倍くらいに伸びる。骨格標本を見てもそれは明らか」と指摘する。

 

  環境省の石川拓哉・動物愛護管理室長は「ケージに入れっぱなしにすることは想定していない。ケージから出して十分に運動させるよう明記している」と話す。

 

  ただ、管理基準で犬や猫は運動スペースに1日3時間以上置くよう定められているが、「ウサギは『適切な頻度と時間』などとしか書いておらず、実効性はほとんどない」と東さんは訴える。

 

 改正案をまとめた環境省の検討会で委員も務める三輪恭嗣・日本エキゾチック動物医療センター院長は「動物には個体差もあり、必要なケージの大きさや運動量などを定量化するのは、そもそも難しい」としつつ、「ウサギがリラックスして体を伸ばせないのは明らかに問題で、縦が頭胴長の2倍というのは最低限といえる」と話している。

 

  環境省は改正案を今夏中に中央環境審議会動物愛護部会で報告し、審議会での審議を経て、今秋の公布をめざしている。(太田匡彦)