2026年5月22日 弁護士ドットコムニュース
栃木県の強盗殺人事件で、16歳の男子高校生4人と20代の夫婦の計6人が逮捕された。
少年たちが住宅に侵入し、住民の女性を殺害したとされる一方、その陰でもう一つの「命」が奪われていた疑いが浮上している。
フジテレビによると、現場では、被害者の飼い犬が死んでいるのが見つかり、実行役の少年らが殺害したものとみて、警察は動物愛護法違反の疑いでも追及する方針という。
飼い犬を殺したらどんな刑罰を受けるのか。
写真はイメージ(mikitea / PIXTA)(弁護士ドットコム)
●そもそも「動物愛護法」とは?
動物愛護法は、動物の虐待や遺棄を防ぎ、適正な取扱いを通じて「動物を愛護する気風」を社会に広めることを目的としている。
条文には、次のような理念が掲げられている。
「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない」
民法上、動物は「物」に分類される。ただ、2012年の改正で「命あるもの」という文言が明記されて以降、単なる「物」を超えた存在として扱おうとする考え方が強まっている。
●飼い犬を殺した場合は「5年以下の拘禁刑」
動物愛護法の罰則は、大きく3つに分かれている。
(1)殺傷罪・・・動物をみだりに殺したり傷つけたりした場合→5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金
(2)虐待罪・・・暴行やネグレクトなどをした場合→1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
(3)遺棄罪・・・動物を捨てた場合→1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
今回の栃木の事件で、少年らが飼い犬の殺害についても責任を問われる場合、適用が検討されるのは(1)の「殺傷罪」とみられる。
●飼い犬は「愛護動物」の典型
動物愛護法の対象となるのは、「愛護動物」に指定された動物だ。
具体的には、犬や猫、牛、馬、豚など、法律に列挙された動物(一号動物)と、人が管理している哺乳類・鳥類・爬虫類(二号動物)が含まれる。
一号動物は、飼い主がいるかどうかにかかわらず対象になり、野良犬や野良猫も含まれる。
●「みだりに」が判断の分かれ目
殺傷罪の成立でポイントとなるのが、「みだりに」という文言だ。
環境省のガイドラインは、「正当な理由のある場合、即ち社会通念上多くの人が納得し得る目的のために、相当な手段を以て行われる殺傷については、その目的の範囲内でのみ容認され得る」と説明している。
たとえば、と畜場での食肉処理、狂犬病予防法に基づく殺処分、獣医師による安楽死処置などは、一定の正当性が認められるケースとされる。
逆にいえば、こうした正当な理由がない殺傷は「みだりに」にあたる可能性が高い。
仮に、強盗の発覚を防ぐため、犬に吠えられないよう殺害したという事実が認定されれば、正当化できる事情は乏しく、「みだりな殺傷」と判断されるだろう。
