【命と向き合う】閉じ込め飼育・殺処分ゼロ・毛皮農場…人間を支える動物たちを考える3冊 | トピックス

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2025年11月3日 好書好日 

 

「命の宿題―― 『殺処分ゼロ』を語った日から…」(今西乃子著、浜田一男写真、新日本出版社)

 

 ひとの豊かな生活を、多くの動物の命が支えている。そんな動物たちのためのアニマルウェルフェア(動物福祉)を、同じ命ある生き物として、ひとはどう実現させていくべきか。

 

 考えるきっかけをくれる一冊が「子ブタたちはどう生きたのか ぶぅふぅうぅ農園の7か月」(太田匡彦著、岩崎書店)=写真左。著者は本紙記者で、ペットビジネスの闇などを長く取材してきた。完全放牧養豚を実践する農場でのびのびと過ごす子ブタたちを紹介し、一般的な「閉じ込め飼育」から脱却していくには、わたしたちが日々の消費行動を見つめ直すことがまず必要だと主張する。

 

 「命の宿題――『殺処分ゼロ』を語った日から…」(今西乃子〈のりこ〉著、浜田一男写真、新日本出版社)=同中=は、捨て犬・捨て猫や野犬などの命を救おうとする動物愛護センター職員やボランティアなど多くの人々の葛藤や多大な労力を浮かび上がらせる。捨てられる命がある限り、課題は消えない。

 

 絵本「こぎつねのママ ママのこぎつね」(施暖暖〈シーノアノア〉・龍縁之〈ルンユエンチー〉文、施暖暖絵、古屋朋訳、現代書館)=同右=は、毛皮農場で生き別れになったキツネの母子の物語。このキツネたちの幸福を願うなら、わたしたちには知っておくべき現実がある。

(藤崎昭子)=朝日新聞2025年10月25日掲載