2025年10月30日 RKB毎日放送
過去最多の患者数を更新しているSFTS=重症熱性血小板減少症候群。
マダニが媒介する感染症です。
【写真で見る】野生動物が人の生活圏に運ぶおそれも マダニ感染症に注意
マダニは秋に活動が活発になります。
紅葉狩りやピクニックなど秋の行楽シーズンを迎えどんな場所に注意したらよいのでしょうか。
■かさぶたと思ったら”マダニ”
ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター 大野敦子さん 「最初はこんな所にかさぶたあったかなと思って触ったら、あれ取れないなって。よく見たらマダニが血を吸っていて、ちょっと大きくなっているっていう状況でした。その時点ではまったく気づいていないので、痛みもかゆみもありませんでした」
マダニにかまれた経験があるという大野さん。
これから紅葉シーズンを迎える福岡市の油山で、観光ガイドなどを務めています。
マダニにかまれた可能性があるのは、仕事中です。
どういった場所に潜んでいるのでしょうか?
■土が掘り返されている場所は要注意
ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター 大野敦子さん 「油山ですと、イノシシがミミズとかを探したり掘っているような場所が時々見られます。草をちょっとどけて下にいるミミズとかを多分探していたんじゃないかと思います。イノシシがよく利用する所にいるので、おそらくこういう場所で待ち構えていて、イノシシがやってきて動いているときにまた付いて血を吸ったりというようなことかなと思います」
マダニがよく潜んでいるのが、土が掘り返されり、水がたまっている場所。
イノシシがエサを食べていたとされる場所です。
マダニはイノシシなどの野生動物に寄生し、移動します。
そして、人に移って血を吸います。
■致死率は10%〜30%
そのマダニが、SFTSのウイルスを持っていた場合、感染症を引き起こすことがあるのです。
SFTSは発熱や嘔吐、下痢などが主な症状で、致死率は10%から30%とされています。
山道で土を掘り返したような場所を見かけたら、まずは近づかないことが重要だと大野さんは言います。
Qこういった、ある程度道ができているところは大丈夫なんですか?
ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター 大野敦子さん 「そうですね、道があっても真ん中を通っていただければ。それとマダニはそんなに動きが速くないので、普通のペースで歩いている分には多分そんなに素早い動きで付くっていうことはないと思うんですが、立ち止まったり中に入ってじっと過ごすことは気をつけた方がいいと思います」
■芝生の上にもマダニが・・・
マダニが潜んでいるのは「山の中」だけではありません。
福岡県福津市、山のふもとに位置する自然公園です。
アライグマ防除研究会 菊水研二さん
「これがシカのフンです。シカはここに現れて、芝を食べてフンを落とすんだけど、実はそれ以外にマダニも落とすよってことなんです」
開けた芝生の上にもマダニがいると注意を呼びかけているのが、害獣の調査などを行う団体「アライグマ防除研究会」の菊水さんです。
■ニホンジカがマダニを運ぶ?
この公園にマダニを運んでいるとされているのが、ニホンジカです。
福岡県によりますと、県内には2020年の時点で約2万7000頭のニホンジカがいるとされていて、生息域は年々拡大しています。
菊水さんがシカのフンが落ちていた周辺を調べたところ、30分で40匹ほどのマダニを捕獲したこともあったそうです。
さらにー
■アライグマがマダニを人の生活圏に運ぶおそれも
アライグマ防除研究会 菊水研二さん
「私が一番恐れているのは、自宅の庭や家庭菜園にマダニが運ばれて、そこでかまれる事故が発生することです」
マダニを人の生活圏まで運ぶ可能性が高い害獣として警戒しているのがアライグマです。
アライグマは繁殖力が高く、福岡県内で去年確認された数は5825頭。
5年間で4倍にも増えているんです。
身近な場所にも潜んでいるかもしれないマダニ。
身を守るにはどのような対策をとれば良いのでしょうか?
■マダニ対策は
マダニから身を守るには肌の露出を少なくすることです。
具体的には、・首にタオルをまく・シャツの袖口は手袋の中に入れる・長ズボンの裾は靴下の中に入れる
マダニの大きさは2ミリから4ミリ程度で肉眼で確認できます。
明るい色の服の方がマダニが付いていた場合、確認しやすくなります。
虫除けスプレーも有効です。
ディート、またはイカリジンという成分が入ったものが有効的だということです。
万が一マダニにかまれたら無理に取り除こうとはせず病院で取ってもらいましょう。
無理に取ると一部が残り化膿したり、病原体が入るおそれもあります。
秋の行楽シーズン、十分注意してください。