2025年8月31日 朝日新聞
飼い主を失った犬や猫と、新しく飼い主になりたい人との橋渡しに取り組む新潟市動物愛護センター(新潟市中央区)。獣医師や民間の保護団体などと協力し、猫の不妊・去勢手術の普及など幅広い活動を続けているが、ここ数年、独り暮らしの高齢者から大人の猫(成猫)や高齢の猫を引き取るケースが目立ち、成猫の飼い主探しが大きな課題になっているという。
8月下旬、愛護センターに併設される動物ふれあいセンターを訪ねると、推定21歳の「くじら」(雌)がすり寄ってきた。「人間だと100歳を超えると思いますが、まだまだ元気です」と愛護センターの登坂友一所長が教えてくれた。
職員になでられうっとりとする「くじら」。人なつっこくひなたぼっこが好きな21歳=2025年8月28日、新潟市中央区清五郎
保護された猫たちが暮らす「動物ふれあいセンター」。「新潟市動物愛護センター」に併設されている=2025年8月28日、新潟市中央区清五郎
くじらを引き取ったのは1年半以上前、高齢の飼い主の病気が理由という。「ここ4、5年、独り暮らしのお年寄りから引き取るケースが増えています」と登坂所長。高齢の飼い主が入院したり、施設に入ったりして世話ができなくなり、周囲に引き取れる親族もいないといった理由で愛護センターに来た猫は、4月以降すでに30匹近い。8月も高齢の飼い主が亡くなり、残された猫2匹(いずれも推定6歳)を保護したばかりという。
愛護センターとふれあいセンターには29日現在、約30匹の猫がいるが、3分の1が10歳以上。犬や猫の平均寿命が延び、高齢でも元気な犬猫が増える一方、ペットとして人気が集まるのは子猫や子犬が中心だ。ふれあいセンターでも、「くじら」の他に、「ウーロン」(推定15歳)、「ヒナ」(推定16歳)などは、今も新しい飼い主が見つかっていない。
登坂所長は「大人の猫は落ち着いていて、(飼う側の)ライフスタイルを大きく変えることなく家族の一因として迎え入れることができます」と成猫の魅力をアピールする。その上で「猫も人も幸せに生きるため、飼い主の変化にできるだけ早く周囲が気づく仕組みが必要。早めに連絡をもらえれば、より良い手立てが打てるかもしれない」と話している。
飼い主を募集中の猫と犬の情報は、ふれあいセンターのホームページ(https://www.ikutopia.com/facilities/doubutsu/foster/)で。
飼い主を待つ子猫。ケージの中で元気に動き回っていた=2025年8月28日、新潟市中央区清五郎
推定1歳の「いちご」。カメラを向けてもどっしりと構えていた=2025年8月28日、新潟市中央区清五郎