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2025年6月17日 Newsweek

<約37度の猛暑の中、庭に繋がれたまま放置されていた母犬と9匹の子犬が救出された。保護スタッフが驚いたのは、その母犬の体に広がる「ヒョウ柄」だった>

アリゾナ州フェニックスの動物保護団体「アリゾナ・ヒューメイン・ソサエティ(AHS)」に、母犬とその子犬たちが助けを必要としているとの通報が入ったのは、5月29日のことだった。だが、現場に駆けつけたスタッフが目にしたのは、想像を超える光景だった。 
 
「ヒョウのような犬」が話題に...だがその裏にあった「炎天下の悲劇」とは  azhumanesociety-TikTok
 
 
通報者によると、発見された母犬は「レインボー・ブライト」と名づけられ、庭の直射日光が当たる場所に短いリードで繋がれ、水も与えられていなかったという。その日のフェニックスの気温は37度に達していた。 
 
AHSのジョー・カサドス氏は本誌にこう語る。「AHSの緊急動物医療技術者(EAMT)が現場に到着したとき、まず目に入ったのは、レインボー・ブライトのヒョウ柄のような毛並み、そして母犬と9匹の子犬たちが置かれていた劣悪な環境だった」 
 
「この模様がどうして、いつできたのかは分からないが、明らかに保護が必要な状態だった」 
 
飼い主は最終的に、これ以上は面倒を見きれないと判断し、レインボー・ブライトと子犬たちの引き渡しに同意した。
 
EAMTたちはすぐに行動を開始し、母子をAHSの「レイジン・アニマル財団 セカンドチャンス動物外傷病院」へ搬送した。この病院は全米でも最大級のホームレス動物向けの一次救命施設として知られている。 
 
「診察の際、レインボー・ブライトの体温は40.9度もあった。冷たいタオルを使って平熱まで下げた」とカサドス氏。「さらに、彼女は授乳中の母犬にもかかわらず痩せすぎており、母体と子犬の健康を守るためのカロリーが不足していた」 
 
幸いにも、レインボー・ブライトと子犬たちは回復に向かっており、もしAHSが通報を受けていなかったら結果は違っていたかもしれない。 
 
「発見時の状況は非常に危険だった。灼熱の太陽の下で水もなく、しかも子犬の世話をしている状態では、母子ともに深刻な結末を迎えていた可能性が高い」 
 
その後、レインボー・ブライトと9匹の子犬たちはAHSの「マタニティ・スイート」と呼ばれる静かで安心できる環境に移された。ここは妊娠中または授乳中の母犬と子犬のための専用スペースとなっている。
 
 
レインボー・ブライトはAHSのTikTokアカウント(@azhumanesociety)で一躍人気者に。「ヒョウがいるぞ」という字幕とともに投稿された動画は、すでに7万2000回以上再生されている。 
 
現在、母子はフォスター家庭に預けられ、体重を増やしながら元気を取り戻し、成長を続けている。今後はワクチン接種や避妊・去勢手術を経て、里親募集が開始される予定だ。 
 
「レインボー・ブライトの性格については、まだ分からないことも多い。フォスター先の家庭からの報告をもとに、彼女に最適な新しい住まいを探していく」とカサドス氏は話す。 
 
なお、暑い気候下では、飼い主がペットの健康管理に細心の注意を払うことが不可欠だ。動物愛護団体PETAによると、2024年だけでもアメリカ国内で少なくとも111匹の動物(主に犬)が熱中症などの熱関連の原因で命を落としているという。
 
過去には2022年、テキサス州で高温下に放置されていた子犬9匹のうち5匹が死亡、4匹が緊急搬送されるという痛ましい事件も起きている。