松山市、動物愛護CFで集めた1300万円使途公表せず 取材受け開示 | トピックス

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2025年1月27日 毎日新聞

 

 松山市が2024年度に実施した動物愛護のためのクラウドファンディング(CF)が1314万684円を集め、目標金額(1000万円)を達成した。CFは22年度から始め、過去2回とも目標額を上回る寄付金がよせられたが、使途の内訳を公表しておらず、市民らから「何にいくら使われたのか分からない」との声が上がっていた。市は「寄付者に対する誠意が欠けていた」と釈明し、毎日新聞の取材を受けて23日、過去2回の使途内訳をホームページで公表した。

 

松山市役所=木島諒子撮影(毎日新聞)

 

 市が実施しているのはふるさと納税型のCFで、自治体が寄付金の使い道を具体的なプロジェクトとして示し、課題解決を目指すもの。返礼品ではなく、使途への共感を求めるのが特徴だ。動物愛護を目的としたCFに取り組む自治体は多く、寄付が目標額を下回るケースもあるが、松山市は3年連続で目標額を達成している。

 

  市によると、22年度の寄付額(目標額1200万円)は1773万8577円で、市動物愛護センター「はぴまるの丘」(24年3月完成)の整備費(950万円)▽猫の不妊去勢手術費補助(823万8000円)に活用。23年度の寄付額(目標額1000万円)は1081万772円で、猫の不妊去勢手術費補助(881万円)▽地域猫活動支援(150万円)▽動物愛護の啓発(50万円)――に活用した。 

 

 市はこれらの詳細をホームページなどで公表しておらず、担当者は当初、「はぴまるの丘の啓発コーナーに掲示している」と説明。だが、市民や寄付者には周知していなかった。

 

 公表しなかった理由について市は「市の一般財源とCFの寄付金を合算して使っており、実績を表しにくかった」と釈明。だが、20年には和歌山市で動物愛護のCFの使途を担当職員が明確に把握しておらず問題化したケースもあり、ある松山市民は「誤解や不信感を招かないためにも、使い道は公にすべきだ。寄付した人の善意に応えていないと思われても仕方ない」と憤る。

 

  関西大学経済学部の林宏昭教授(財政学)は「ふるさと納税型CFの実施者に金額の内訳などの説明義務はないが、毎年、寄付を募っている以上、使った金額は明確にした方がよい。(整備費に寄付金を活用した)愛護センターの運営実績を公表するなどし、適切に使われていることを周知すれば、信頼につながり、広く理解も得られるのではないか」と話している。【広瀬晃子】