杉本彩さん「弱い動物を守れない社会は、弱い立場の人も守れない」…徳島で講演 | トピックス

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2024年9月30日 読売新聞オンライン

 

 動物福祉の向上に取り組む団体の代表を務める俳優の杉本彩さんが徳島県北島町で講演し、犬や猫を“大量生産”する悪質な繁殖・販売業者の下で衰弱して死んだり、捨てられたりする例が後を絶たない現状を切々と訴えた。「その現場を見聞きしたら、見過ごさずに通報を」と呼びかけた。

 

動物の虐待や遺棄の防止を訴える杉本さん(徳島県北島町で)

 

 杉本さんは公益財団法人「動物環境・福祉協会Eva」(東京)の理事長で、町民らに招かれて22日、町創世ホールで講演した。悪質な業者の例として、2021年9月に摘発された長野県松本市の業者は、約1000匹の犬を従業員数人で管理し、空調や清掃なしに衰弱させ、麻酔を打たずに帝王切開するなどの虐待行為もあったと紹介した。

 

 また、今年6月に摘発された埼玉県の業者は、繁殖能力がなくなった犬をかごに入れ、密封して死なせた――と声を震わせて報告。「弱い動物を守れない社会は、弱い立場の人も守れない。人間の問題なんです」と訴えた。

 

 さらに、20年の改正動物愛護法の施行で虐待や遺棄にも懲役を科せるようになったのに、この2例がいずれも実刑なしの罰金のみだったため、「さらなる厳罰化が必要」と主張。「話せない動物たちに代わり、あきらめずに声を上げ続けましょう」と賛同を求めた。

 

 杉本さんを招いた実行委員会委員長の辰巳しずかさん(47)は「犬などの遺棄や虐待は県内にもある。身の回りの窮状から目をそらさず、動物福祉向上のため自分が何をできるかを考えてほしい」と期待した。