ふるさと納税で動物救う 保護急増今月から募集 | トピックス

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2024年3月14日 読売新聞オンライン

 

 犬や猫の保護や譲渡といった動物愛護事業を進めようと、相模原市は1日から「ふるさと納税」の仕組みを活用し、返礼品なしで税額控除の対象となる寄付の募集を始めた。先行する川崎市では動物愛護への寄付の8割をふるさと納税が占める。制度導入初期は返礼品競争が過熱したふるさと納税だが、「返礼品なしでも、動物の命を救うために役立ててほしい」との声がある。(五十嵐弘一、中山知香)

 

 

 相模原市は2022年度に犬54頭、猫217匹を保護し、必要な治療を施したり、人と暮らす環境に適応させる「 馴化じゅんか 」を行ったりして、犬21頭と猫173匹を新たな飼い主のもとへ送り出した。今年度は昨秋に約70匹という猫の多頭飼育崩壊があり、保護数が急増。当初の予算では賄いきれない可能性も出てきた。

 

 

 今月からふるさと納税による寄付を受け付けることになり、同市生活衛生課の担当者は「不測の事態が起きても慌てずに対応できるようにしたい。厚意を寄せてもらえたら」と話す。保護から譲渡までの間に必要なペットフードやペットシーツなど消耗品の寄贈も呼びかけているほか、猫の新しい飼い主も募っている。

 

 

 先行して15年から動物愛護事業にふるさと納税を利用できるようになった川崎市では、今や毎年の8割超をふるさと納税による寄付が占める。多い年では98%に上ったことも。治療費や不妊手術の助成金などにも活用されており、同市の担当者は「受け入れてもらえる動物が少しでも増えるよう寄付を生かしたい」と話す。

 

 県動物愛護センター(平塚市)には11日現在、犬35頭、猫は収容目安を超える110匹がいるほか、ウサギ40匹も保護されている。臨床経験の豊富な獣医師が隔週で訪問し、動物の治療方針などを相談。ドッグトレーナーが毎月訪問して、人になれていない犬の指導の助言も受けている。

 

 こうした活動を支えているのが、県が条例に基づき18年に創設した「かながわペットのいのち基金」だ。県生活衛生課によると、自治体として必要最低限の活動部分は県予算で、譲渡会の運営や動物のしつけなどには基金を活用している。同センターの広井恵津子愛護・指導課長は「譲渡できるようになるまで時間がかかる場合もあるが、寄付のおかげで殺処分ゼロを維持できている」と語る。

 

 基金もふるさと納税で寄付を受けることが可能で、年平均3000万円の寄付のうち3分の2はふるさと納税によるものだ。税の控除も魅力の一つではあるが、同課の担当者は「キャッシュレス決済にも対応し、スマートフォン一つで簡単にできる。動物愛護に共感する人たちにとって、寄付しやすい方法なのではないか」とみている。