犬の殺処分ゼロ目指す秋田県、保護犬の「攻撃性や警戒心なくす」訓練をプロに依頼へ…背景には県の成功 | トピックス

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2024年2月20日 読売新聞

 

  保護犬の訓練を行うドッグトレーナー(昨年9月、秋田県動物愛護センター分所で)

  © 読売新聞

 

 「犬の殺処分ゼロ」を目指す秋田県は新年度、保護した犬の攻撃性や警戒心をなくすための訓練を、ドッグトレーナーに依頼する事業に初めて乗り出す。プロによる訓練を通じて殺処分対象の犬を減らし、日常的に世話をしている県動物愛護センター職員にもノウハウを伝えることが狙いだ。(田辺研吾)

 

 秋田県では、センターで保護している犬のうち、▽治る見込みがない負傷や病気がある▽苦痛が著しい▽攻撃性がある――など一般家庭で飼えないと判断されると、原則、殺処分している。このうち、攻撃性が低いなど改善が見込まれる犬をセンターで選び、訓練を受けさせる方針だ。

 

 これまでセンターでも職員らが給餌の機会などにしつけてきたが、ドッグトレーニングの経験が少ないため限界があった。県はドッグトレーナーには犬への訓練とともに、ノウハウをセンター職員に教える役割も期待している。

 

 トレーナーには1時間あたり4000円を支給する考え。新年度の当初予算案には、謝礼金の名目で96万円を計上した。

 

◇ プロへの依頼に乗り出す背景には成功体験がある。

 

 秋田県は2022年に藤里町などで多頭飼育されていた犬56頭を保護し、23年夏には人への警戒心が強い31頭を殺処分する検討に入った。

 

 ただ、その後、民間のドッグトレーナーがボランティアで訓練に入ると、全頭が譲渡を目指せる状態にまで改善。一般家庭や動物愛護団体への譲渡が進み、県は現在、残る14頭の譲渡に向けて飼い主を募っている。

 

 県生活衛生課によると、02年度に1334頭だった犬の殺処分数は、22年度には37頭に減少した。飼育を投げ出す飼い主が減るなどして保護頭数が減ったことや、県が譲渡を強化してきたことが大きい。

 

 秋田犬を「観光資源」などとして活用している県は、第3次県動物愛護管理推進計画で、最終年度の30年度までに犬と猫の殺処分ゼロを目標にしている。

 

 同課の担当者は「殺処分を減らし、譲渡につなげたい。県内では捨てられる犬も依然多く、終生飼養できる人だけ飼い始めてほしい」と話している。