2023年12月12日 TBS NEWS DIG
12月12日は「わん(1)にゃん(2)わん(1)にゃん(2)」の語呂合わせから、「保護犬・保護猫の日」です。
動物たちの命をつなぐ活動を取材しました。
愛くるしい表情でカメラ目線をくれる猫に、つぶらな瞳で見つめる犬。
癒しや安らぎを与えてくれる、まさに家族の一員です。
見学に来た人
「ごはん食べてる!かわいい」
「本当にみんな穏やかに過ごしてる」
ただ、ここにいるのは、人間の身勝手で住みかをなくしたペットたちです。
札幌市動物愛護管理センター 石橋佑規獣医師
「(多頭飼育で)飼えなくなってしまい、引き取りを求められるケースが多くなっている」
繁殖しすぎて、適切な飼育ができなくなる「多頭飼育崩壊」。
劣悪な環境の中で命を落とすペットもいます。
飼い主に問われる命への責任。動物愛護の“いま”をもうひとホリします。
札幌市中央区に、先月オープンした「あいまるさっぽろ」。
ペットとして飼えなくなった犬や猫を保護する施設です。
札幌市動物愛護管理センター 石橋佑規獣医師
「ここは猫の遊び場と言いまして、猫たちがゲージの中ではなく、自由にお部屋の中で暮らしてもらうスペースになっています」
これまで西区と北区の2か所に分かれていてた動物管理センターが、1つに集約され、およそ100匹の犬・猫を保護することができます。
札幌市動物愛護管理センター 石橋佑規獣医師
「オープン当初から収容数は超過状態にあった。動物を手放したい相談がかなり立て続けにきて、一時期は100匹を超える猫が収容されていました」
現在も、猫がおよそ70匹、犬は1匹と圧倒的に猫の数が多く、9つある犬専用の部屋も、その大半を猫が使っています。
なぜ、ここまで保護される猫が多いのか?
背景には、“繁殖能力の高さ”が挙げられます。
札幌市動物愛護管理センター 石橋佑規獣医師
「(猫は)1年に2~3回繁殖をしますし、1回に4~8頭の子どもを産みますので、1年でとてつもない数まで増えてしまう。どんどん増えてしまって、飼い主自身ではどうしようもないところまで行ってしまう」
施設では、定期的に講習会を開き、はじめてペットを飼う人に向けて、基本的な飼い方や、しつけなどの知識を教えています。
さらに犬や猫の譲渡会も行っているほか、学生たちの学びの場としても活用されています。
動物看護師を目指す学生
「あまりいいイメージがなかったが、動物もきれいだし、施設もいい雰囲気でイメージが変わった」
「保護されている動物たちを引き取ることを、みんなの視野に入ればいいなと思う」
見学者は1日平均40人ほどが訪れ、3~4匹が引き取られていくそうです。
さらに、ボランティアが、環境に慣れるためのトレーニングを行っているほか、スタッフがSNSで「推し猫」を紹介し、性格や特徴を細かく載せるなど、1匹でも多くの猫が新しい家族に出会えるための活動をしています。
札幌市動物愛護管理センター 石橋佑規獣医師
「動物のことをしっかりと知ってもらい、最後まで大切に飼うことができるかを考えてもらいたいと思います」
動物の保護活動はこんな場所でも…。
酪農学園大学(3年) 坂口愛莉さん
「保健所から猫を引き取って受け入れて、次の飼い主を探す一連のシェルター管理をやっています」
江別市の酪農学園大学です。ペットの世話をしているのは、獣医学を学ぶ学生たち。
今年4月から、道の委託を受けて犬や猫を管理しています。
これまでに35匹を預かり、譲渡会を開催して、16匹以上を新たな飼い主につなげました。
酪農学園大学(3年) 坂口愛莉さん
「ここにいる猫はまだ(飼い主が)決まっていない猫もいる。みんな新しい飼い主に出会ってくれれば幸せ」
活動を通じて学生たちも、大きな刺激を受けているといいます。
酪農学園大学(獣医学) 川添敏弘教授
「実際に動物に触る、今も介護している猫もいます。そういう中で死を意識するときもあります。里親になってくださる人も含めて、本当に感謝をしながら、この動物愛護管理センターは運営されていくものになっていくと考えています」
《スタジオ補足》
道の委託で始まった動物愛護管理センターですが、ほかにも災害時に被災した動物を保護して、飼い主に戻すという役割も担っているということです。
道はこのような動物愛護管理センターを、今後も増やしていく方針です。
道は広大な北海道で動物の保護・譲渡に対応するため、道内を4つの地域に分けて、道央は酪農学園大学(4月)、道東は音更町(4月)にセンターを設置し、運用開始。
残りの道南・道北も、来年度からの運用に向けて準備中です。
一方で、課題もあります。
◆収容スペースや人材の確保のほか餌代や人件費、手術などの治療費の工面
◆ほかの都府県に比べて整備が追いついていないのが現状
12月12日は「保護犬・保護猫の日」です。
改めて動物愛護について考えるきっかけにしてもらいたいと思います。