2023年12月13日 東京新聞
ネット上での炎上に加え、抗議の電話も相次ぎ、対応に不慣れな園側が感じた重圧は察するに余りある。
民営の富士花鳥園(静岡県富士宮市)が体長約40センチの鳥「ワライカワセミ」をリードでつないで展示したところ、「虐待だ」などと批判され、ケージでの放し飼い展示に変更した。
近年、動物にとって快適な環境を考える「動物福祉」の意識が高まっている。保健所や環境省が不適切ではないと判断しても、それが決め手にはならなかった。惜しむらくは園側も不適切ではないと感じながらも早々と譲歩し、客観的議論もないまま終結した点だ。
動物福祉が掲げる「動物の自由」を巡り、多様な解釈が存在する。一方的な押しつけではなく、異なる立場にも共感が広がるような形で、共通認識を模索していく社会であってほしい。
(富士通信部・佐野周平)