「殺した猫を食べたうえ、頭蓋骨を標本に…」動物の虐殺動画をアップして逮捕された“広島のエリート大 | トピックス

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2023年4月1日 文春オンライン

 

「歳月人を待たず。 Time and tide wait for no man.」

 

 広島県呉市川尻町大原の山中で刃物などを使って猫を殺したとして、動物愛護法違反の疑いで3月22日に逮捕された同市の大学院生・生駒慶伍容疑者(24)。彼は自身のYouTubeチャンネルのプロフィール欄にこう記載していた。

 

 猫を殺害する一連の様子を動画で公開し、残虐さをうかがわせる生駒容疑者は、周囲から“知能犯”と呼称されているが、一体どんな人物なのか――。

 

猫を解体して食べたうえ、毛皮を剥ぎ、頭蓋骨を標本に…

 

 社会部記者が解説する。

 

「2月初旬、自宅近くの山中で罠にかかった猫1匹をバールのようなもので殴打し昏睡させ、頭部を足で踏みつけて、腹部を刃物で突き刺すなどして殺した疑いが持たれています。その後、生駒容疑者は猫を解体して食べたうえ、毛皮を剥ぎ、頭蓋骨を標本にするという内容の動画をネット上に公開していました。広署が3月22日に逮捕し、検察は24日付けで処分保留のまま釈放しています。今後、任意での捜査が続くことになります」

 

 生駒容疑者は「むめひ」のアカウントでYouTubeチャンネルを運用し、主に山菜採りや収納具を作るなど、“自給自足”で生活する様子を公開していた。他にも飼っている鶏の熱中症対策として部屋をDIYで用意するなど、動物を手塩にかけて世話する姿もあった(現在動画は全て削除済み)。近隣住民が生駒容疑者について振り返る。

 

「生駒家は、30年以上前から代々こちらに住んでいます。畑を耕すための工具などは揃っているし、慶伍くんのおばあちゃんは山を所有していて、 “鶏小屋”を作るための木材や竹はそこから調達していたようです。地元の小・中学校を出た後は、呉市で一番の難関高校へ進学していて“エリート”という印象です。礼儀正しくて挨拶を欠かさない子でした」

 

 生駒容疑者に対して好印象を抱いていた反面、奇妙に感じる瞬間もあったという。

 

「野生化し生息している個体の野猫は鳥獣保護管理法の対象」

「玄関を開けたら急に鶏がいて、そこら中にフンが落ちていることが多々ありました。臭いや鳴き声で迷惑している家庭もあるみたいですよ。すごく可愛がっている割に管理が甘いし、時期がきたら食べてしまうみたいでした。キツネや猪なども食べていたみたいで、“蔵”には毛皮を記念として吊るしていて、なんだか怖いな……というのが最近の印象でした」(同前)

 

 YouTubeの動画でも「落ちていた猪を解体して食糧に」や「車に轢かれたタヌキをマフラーにしてみた」など“すでに死んでいた動物”を利用した動画が上がり始め、次第に自らも“狩り“に出向くようになる。

 

 そして2月11日、事件となる猫の虐殺動画がアップされた。生駒容疑者は動画内で狩猟読本を読み上げながら、「市街地を徘徊しているような野良猫(地域猫)とは違い、野生化し生息している個体の野猫(ノネコ)は鳥獣保護管理法の対象。つまり(狩猟は)合法であると言えます」と発言。法律を守った上での一連の行為だとして、「野猫に乾杯」などと言って捕食した。

 

しかし、実際には、この猫は世話を施された“地域猫”だった。地元の動物愛護団体の一員である男性が明かす。

 

「殺された猫は同じ団体のメンバーの方が可愛がっていた子でした。10年ほど前からお世話をしていて、動物病院でちゃんと避妊手術も終えています。メンバーの方にとても懐いていて、いつも餌を食べにくるのに2月の頭頃から急に姿を見かけなくなったので、おかしいなと思っていたみたいです。そして、メンバーの家族が生駒容疑者の動画を見つけたんです」

「彼は知能犯だ」動物愛護団体や警察に大量の情報提供

 その後、メンバーの家族が警察に通報し、事件が覚知された。さらに、団体には生駒容疑者についての情報が多く寄せられていて、「彼は知能犯だ」と言われているという。

 

「以前から知識を振りかざして、まくしたてる一面があった人物のようです。“野猫”という浸透していない言葉を使って罪を逃れようとした賢いヤツだという声もあり、実際に生駒容疑者の調書は大量に及んでいると聞いています。動画では公開されていない“別の猫の毛皮”もあるようです。こうしたことを受けて、私たち団体も不起訴になっては困るとして、広署に要望書を渡しました。警察側もすごい数の電話が来ていて対応に追われているらしく、捜査は続けると言っていました」(同前)

 

 事件の経緯を確認するため、生駒容疑者の自宅前にある祖母の家を訪ねると、祖母は「耳が遠くて…」、「何かよく分からない」と知らない素振りを見せるだけだった。

 

 生駒容疑者は、警察の調べに対して、YouTubeでの発言同様、「猫を殺したことに間違いはないが、法律で守られた愛護動物には当たらない野猫(ノネコ)だと思っていた」と供述している。

 

生駒容疑者が猫を殺害した場所は祖母の私有地であったとされるが、近くにはキャンプ場やお寺、居住区があり“野猫”は生息しづらい――。

その他の写真はこちらよりご覧ください。

 

広島県呉市の山中で、刃物などを使って猫を殺したとして動物愛護法違反の疑いで大学院生の生駒慶伍容疑者(24)が3月22日に逮捕された事件。生駒容疑者は自身のYouTubeチャンネルで猫を殺して解体し、食べるまでの動画を公開していた。

 

 こうした生き物の尊い命を奪う“蛮行”に、地元の動物愛護団体だけではなく全国から「信じられない」と怒りの声が上がっている。だが、生駒容疑者を知る人物によれば、以前から “解体癖”があったようだ――。

 

小中学校のときは地元で“エリート”扱い

 生駒容疑者は事件現場近くの呉市川尻町で生まれ育ち、地元の小・中学校を卒業。呉市で一番の難関高校を経て、東広島市の私立大学に進学した。その後、大学院へとコマを進めた生駒容疑者は、現在も実家で暮らしながら通学していた。近隣住民が語る。

 

「大きな畑や山を保有している裕福な家庭で何不自由なく育った慶伍くんは、とても活発な子でした。畑の稲刈りを手伝ったり、玄関先でボール遊びをしたり、おばあちゃんが所有する山に遊びに出かけたりしていました。家族仲も良かったと思いますが、慶伍くんは特におばあちゃんっ子でしたね」

 

近隣住民によると、成績優秀で友人の多かった生駒容疑者は“エリート”だったという。実際に、地元の小・中学校の同級生も口を揃えて彼を「エリート」と呼び、あだ名は「先生」だった。

 

「小学2年の頃に地域のマラソン大会に出て学年で1位をとったり、小学5年の頃には日常を綴った『くらしの文集』が入選したりと、まさに文武両道でした。特に国語と理科がずば抜けていたイメージで、“言葉”を書くことが好きな少年でした。自作のカードゲームを作って遊んだり、オリジナルの漫画を考えたりしていました」(小・中学校の同級生)

 

 生駒容疑者は周囲のイメージ通りのまま、難関高校へ進学した。しかし、高校の同級生からすると、彼に秀才の印象はなく、むしろ凡庸だったという。

 

「詩のボクシング」で特別賞を受賞

「ある程度勉強ができる生徒が集まっていたなかで、生駒くんの学力は中の下くらいでしたよ。特に秀でていたものがあるわけではなく、目立つタイプでもないので正直印象は薄いです。ただ、当時から生物の生態に興味があったみたいで、『カエルって食べられるんだ』と発言していたのを覚えています」(高校の同級生)

 

 生駒容疑者は、周囲との学力差に塞ぎ込んだのか、趣味に没頭するようになったという。高校の別の同級生が明かす。

 

「プラモデルを集めて組み立てたり、フィギュアを一度解体してまた自分でイチから組み立て直していました。他にも詩を書くことが好きで、『普段から書きためている』と言っていました。高2のときに、学校内で行われる詩の大会で特別賞のようなものを取ったこともあります」

 

生駒容疑者の出身校では「詩のボクシング」というイベントがあり、ボクシングのリングに見立てた舞台上で朗読者(ボクサー)が詩を詠む「言葉の格闘技」が行われていたという(2015年時点)。そして、生駒容疑者の朗読した、《詩を書くということは、書き上げるだけが大切なのではなく、そこに向かう心の気づきそのものに意味があると思います》という詩に特別賞が贈呈された。

 

 一方、生駒容疑者は話したこともない同級生の女性をいきなり下の名前で呼んだり、執拗に連絡を送ったかと思えば、後ろから女性の自宅周辺までついて行くというストーカー行為をしていたという声も上がっている。

“滑り止め”で受けた工業系の私立大学に入学

 その後、大学に進学すると生駒容疑者はさらに自分の世界へと没入していく。

 

「希望していた大学に落ちてしまって、“滑り止め”で受けた工業系の私立大学に行きました。ただ、“滑り止め”と言っても彼にとってはそれがよかったのかもしれませんね。YouTubeで披露していた工作や生物の知識は、大学で得たものも多いと思います」(同前)

 

 生駒容疑者がYoutubeへの動画投稿を始めたのは大学1年生の頃からだが、次第にエスカレートしてしまった。虐待動画について前出の高校の同級生はこう肩を落とした。

 

「彼は夢中になれるものを見つけてしまったんですね」

「彼は夢中になれるものを見つけてしまったんですね。フィギュアの“解体癖”が猫などの生物に向けられるなんて思いもしませんでした」

 

 生駒容疑者は「猫を殺したことに間違いはないが、法律で守られた愛護動物には当たらない野猫(ノネコ)だと思っていた」と主張しているが、広島県農林水産局は「野猫の駆除」ついて次のように回答した。

 

「捕獲許可証を発行するのは有害鳥獣捕獲(主にイノシシ・シカ等)のみで、野猫は捕獲及び駆除の対象としていません」

 

 また、広島県猟友会も同様の見解を示している。

 

「イノシシやニホンジカを捕獲する目的でワナをかけることがほとんどであり、目的動物以外がワナにかかった場合には放獣されるのが一般的です。猫の場合は、野猫、野良猫、飼い猫の判断が難しいことから、放獣されているようです」

 

 かつて詩のボクシングで「心の気づき」と詠った生駒容疑者。その言葉はどこへ行ってしまったのか。