2022年12月21日 東スポWEB
飼っていた子猫2匹を殴って殺すなどしたとして、動物愛護法違反などの罪に問われた男子大学生の被告の初公判が20日、大阪地裁で開かれた。被告は2件の痴漢行為で府の条例違反にも問われており、検察側は懲役1年を求刑。即日結審した。動物愛護活動家としても知られるタレントの杉本彩も公判を傍聴。閉廷後に根本からの改革を訴えた。
被告は1月、恋人と住んでいた大阪府和泉市の集合住宅の一室で、生後半年のエキゾチックショートヘアの側頭部を右の拳で殴打。頭部挫傷で死なせた。4月には生後3か月のラグドールの腹部を殴り肺挫傷で死なせたとされる。さらに、6月と8月に駅で高校生AさんとBさんの太ももを触った条例違反の罪にも問われている。
被告は小柄で細身の体形もあって、気の弱そうな青年といった印象。起訴事実を「間違いありません」と認めた。
被告は「短気が原因。就職活動がうまくいかないストレスで、苦手な鳴き声でイライラして、自分を抑えられず死なせてしまった」などと釈明し、痴漢行為については「欲を抑えられなかった」と話した。就活については5社~10社程度を受け、内定も得ていた。
にもかかわらず自身を動物好きと言い、ペットを飼った理由は「恋人がうつ病でペットを飼えば治ると思った」と説明。ペットショップで購入した総額は100万円を超え、今もローンを払っているという。獣医師の証言などから、被告はこれまでに6匹のイヌやネコの診察に訪れており、4匹が死亡していた。眼球が飛び出すなど虐待の兆候が疑われたため解剖を提案すると、恋人は同意したが被告がかたくなに拒否していたことも明らかになった。
この裁判を傍聴していたのが杉本だ。杉本は20代のころ、ドラマの撮影所で見つけた瀕死のネコを保護して以来、動物愛護活動に取り組んでおり、相次ぐ動物虐待の裁判も熱心に傍聴している。
杉本は被告について「大学生と思えない。高校生?って言いそうなくらいすべてが子供っぽかった。動物愛護法違反だけかと思ったら、痴漢も常習犯のようにやっていて驚いた」と第一印象を語った。
その上で、犯行について「イライラとか短気でできる行為じゃない。短期間に連続でやるのも、ついやってしまったというレベルじゃない。メンタル的に自制できないのであれば、再犯のリスクも高い。ほかにも余罪がありそうだし、本人のためにも実刑がいいと思う」と一蹴した。
杉本は前日も動物虐待裁判を傍聴していたという。なかなか無くならない虐待に「どちらの事件も安易にペットショップから購入していた。大学生でお金もそんなにないのに、ローンも組めて100万単位のお金を費やして動物を入手してる。ペットショップの無責任な販売が動物虐待を誘発しているのは間違いない事実。誰にでも売るのか。そろそろ根本から見直してほしい」と切実に訴えた。
判決は来年1月17日に言い渡される。