2022年11月3日 朝日新聞デジタル
飼い主が亡くなり、岐阜県動物愛護センター(美濃市)で保護されていたメスの雑種犬「ももえ」(推定7歳)が、動物介在活動犬(セラピー犬)として第二の人生を送ることになった。羽島市竹鼻町の障害者グループホーム「虹色びより丸の内」に譲渡され、利用者たちを癒やしている。
2年前に飼い主を亡くした「ももえ」は引き取り手もなく、県内の保健所を通じて同センターにやってきた。
性格はおとなしく、社交性もある。セラピー犬候補として素質を見込まれ、高齢者との散歩を想定した歩行訓練や、福祉施設での利用者とのふれあい活動などの経験を積んだ。
通常は1年ほどで譲渡されることが多い。ただ、コロナ禍で福祉施設への訪問活動も難しくなり、ももえの譲渡先は、なかなか決まらなかったという。
ペット共生型グループホームとして今年4月に開業した「虹色びより丸の内」での譲渡がようやく決まり、10月からホームで暮らすことになった。殺処分される犬を減らしたいというホームとセンターとの思いが重なった。
ホームの定員は7人で、現在、3人の知的障害、精神障害者が暮らしている。管理者の近藤裕美さんは「利用者の気持ちを元気にしたり、病気の回復を助けたりすることができる。散歩中の出会いや地域とのつながりも増えるのでは」と期待する。
センターは開所した2014年度からセラピー犬の育成を続け、譲渡はももえが8匹目になる。昨年度は20匹の犬を保健所から受け入れ、殺処分はゼロ。譲渡会で新しい飼い主を見つけたほか、1匹がセラピー犬の訓練を受けている。センター所長の村瀬繁樹さんは「セラピー犬として第二の人生を送り、みんなにかわいがられて長生きをしてほしい」と話した。