450万円の例も…ペット連れ移住困難で置き去り急増 香港 | トピックス

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2022年9月6日 AFPBB News

 

【9月6日 AFP】雑種犬の「カシアス」と「ロクシー」は、香港のドッグシェルターで、もう3か月も新しい飼い主を待っている。元の飼い主は急きょ英国への帰国が決まり、2匹をこの施設へ預けた。

香港で、飼い主が急きょ英国に帰国したため「香港ドッグレスキュー(HKDR)」の保護施設に預けられた「ロクシー」(左)と「カシアス」(2022年9月1日撮影)。

香港の動物保護団体「香港ドッグレスキュー(HKDR)」のスタッフと散歩をする「ロクシー」(左)と「カシアス」。

 

   民主派に対する弾圧や世界で最も厳しい新型コロナウイルス規制の影響で住民の流出が止まらない香港では、置き去りにされるペットが急増している。

 シェルターを運営する「香港ドッグレスキュー(HKDR)」のエバ・シットさんは、「犬たちがかわいそうで仕方なくて、引き取り依頼を断るのはとても難しい」とAFPに語った。おかげで施設はいつもいっぱいだという。


 以前は、ペットを手放す理由を「移住」と説明する飼い主は10人中2人ほどだったが、最近は「ほとんどがそれだ。10人中8人ぐらいはいる」とシットさん。


 香港は今、急激に人口が減少している。政治的な弾圧や厳格な新型コロナ規制を嫌って、この2年間に多くの市民や外国人が脱出。政府統計によれば、2020~22年に約20万人が流出した。

香港で、保護した犬を抱きしめる動物保護団体「西貢流浪狗協会」の創設者ナレル・パムックさん(2022年8月17日撮影)。

 

■ペット連れ移住、450万円の例も
 通常、移住者はペットを連れていく。だが、香港独自のコロナ隔離政策が、ペット同伴の移住を難しくしている。


 かつて世界で最も忙しい空港の一つだった香港国際空港の発着便数は、コロナ禍前と比較して激減した。隔離の義務付けを理由に香港を避けている航空会社も多い。


 商業便の本数が少ないということは、貨物室や機内にペットを収容するスペースがほとんどないことを意味する。ペット連れでの移住は不可能か、あるいは法外な費用がかかるということだ。


 富裕層は共同で民間機を借り上げ、1匹当たり15万~25万香港ドル(約270万~450万円)を支払ってペットを香港から連れ出すなどしている。

 

 しかし、断腸の思いでペットを置いて行かざるを得ない飼い主も少なくない。
 香港の動物保護団体「西貢流浪狗協会」創設者のナレル・パムックさんは、飼い主に選択の余地がないことが多いと指摘。ほとんどはペットを乗せられる航空便を見つけられなかったか、料金が高すぎて支払えなかっただけだとして、「ペットを置き去りにする飼い主は悪く言われるが、全員が悪いわけではない」と擁護した。

(c)AFP/Anagha Subhash Nair

 

香港の動物保護団体「香港ドッグレスキュー(HKDR)」の施設に保護された犬(2022年8月16日撮影)。(c)Isaac LAWRENCE / AFP

 

香港で、保護した犬に餌を用意する動物保護団体「西貢流浪狗協会」の創設者ナレル・パムックさん(2022年8月17日撮影)。

 

香港の動物保護団体「香港ドッグレスキュー(HKDR)」の施設で、保護した犬と遊ぶ広報担当者のエバ・シットさん(2022年8月16日撮影)。

 

香港のドッグパーク(2022年9月1日撮影)。

 

香港の動物保護団体「香港ドッグレスキュー(HKDR)」の施設で、保護した犬を洗うスタッフ(2022年8月16日撮影)。

 

香港で、動物保護団体「西貢流浪狗協会」に保護され引き取り手を募集中の犬(2022年8月17日撮影)。

 

香港の動物保護団体「香港ドッグレスキュー(HKDR)」の施設で、取材に応じる広報担当者のエバ・シットさん(2022年8月16日撮影)。

(c)Isaac LAWRENCE / AFP