2022年5月24日 毎日新聞
茨城県は24日、2021年度の県内の犬の殺処分が初めてゼロとなったと発表した。攻撃的な犬でも、トレーナーがしつけをすることで譲渡可能にしたことが主な要因という。
県生活衛生課によると、県の犬の殺処分数は1990年代に8年連続で全国ワースト1位となった不名誉な記録を持ち、2016年度は612匹で同3位、17年度に338匹で同7位。環境省が殺処分数から収容中に死んだ犬などを分けて報告するよう求めた18年度も173匹で同10位だった。
この殺処分数の内訳の厳密化を受け、県は19年度に「譲渡が適切ではない」ために殺処分される犬を減らそうとガイドラインを制定。それまで獣医の主観で決められていた譲渡の向き不向きの基準を明確化したほか、20年度には「攻撃的で譲渡に向かない」とされた犬へのトレーニングを導入し、新たな飼い主を見つけやすくした。
しつけても攻撃性が抜けないなどの理由で殺処分に至ることはあるものの、これらの改革で19年度の殺処分は75匹、20年度は2匹と減少。21年度は収容した1094匹のうち病気で死んだなどを除く860匹の譲渡に成功し、初のゼロを達成した。不妊・去勢手術の定着による収容犬数の減少も好影響となったとしている。
一方で猫はしつけなどが難しいため、トレーニングなどの対策は取れていない。21年度は1161匹が収容され1匹を殺処分、200匹が収容中に死んだ。同課によると収容される大部分が子猫といい、不妊・去勢手術の徹底を呼びかけている。
松本徹課長は「これがゴールではない。ゼロを継続しつつ、犬猫の収容数も減らしていきたい」と話した。【森永亨】