2022年5月12日 ねとらぼ
スキー場が閉鎖されればされるほど、チョウが生きられなくなる環境になることが、東京農工大学や東京大学などの研究で明らかになりました。定期的な草刈りなどが行われなくなり、ゲレンデが草原から自然本来の状態とは異なる森林になることが影響しています。
同大学によると、スキー場は、ゲレンデやゴンドラの下など、同じ場内でも草刈りの管理の頻度が異なる場所が存在することから、さまざまな生き物の生活の場所となっています。
しかし、スキー場は気候変動の影響を受けやすく、先進国ではスキー・スノーボード人口が減少。日本では、2012年までに全763カ所のスキー場が造成されてきましたが、2012年時点で全体の37%にあたる284カ所のスキー場が閉鎖され、閉鎖されるスキー場の数は年々増加中です。
研究結果によると、スキー場が閉鎖されたあと、営業停止からの経過年数に伴って観察されるチョウの種数や個体数が減少しました。ゲレンデは草原から森林へと変化しますが、自然本来の状態の森林にはならないため、チョウの幼虫が食べる植物や成虫が吸蜜する花が減少すると考えられるそうです。
同大学は「一般的に、スキー場を新設すること自体は、地域の生物多様性に負の影響を及ぼすため、生物多様性の保全を考えるとスキー所の増加は歓迎されることではありません」としながらも、チョウ全体にとって重要な生息地を提供していることから、「定期的に人為的な管理を実施することで、様々なタイプのチョウ類種を保全できる保護区的な環境として機能し得るかもしれません」とコメントしています。