2021年12月20日 PETomorrow
やはり日本は動物愛護に関して遅れているのか
動物愛護法が改正され、出生後56日を経過していない犬や猫のペット販売が原則禁止などさまざまな法が改正されたが、まだ日本は動物保護後進国に思える。
アメリカの動物愛護法の現状
アメリカは州により動物保護法が異なり、また市によって条例があるため、地域によって異なるが、現在殺処分を禁止する場所が増えてきている。ただし、シェルターで収容できる絶対数は決まっている。その分、動物愛護団体が増えてきているように思える。また、アメリカはボランティア活動が盛んで、資金源のない団体でも、寄付やボランティアスタッフによって支えられている。
私が知る市営シェルターも一見、ホテルのように施設が充実。保護されている猫や犬たちの部屋は広く清潔。見学する人たちも楽しめるような工夫がされ、気軽に見に来れるようになっている。もちろん、気軽に譲渡するのはよくないが、いろいろな人が見に来ることにより、譲渡できない人でも「寄付」でその団体を支えることができ、また、その現状やボランティア精神を小さい頃から身近に感じられるようになっている。
アメリカは野良猫を増やさないことが前提
私はアメリカで猫2匹をシェルターから引き取ったが、アメリカの場合、シェルターでも8週間(56日)以下の譲渡はできない。その理由としては、8週間までは病気になりやすく、「かわいい」という安易な気持ちで引き取り世話ができないまま、死なせてしまう恐れがあることもあるが、去勢ができるまで引き渡さないという理由がある。
アメリカの場合は、シェルターで猫を引き渡す場合は、必ず去勢済みで引き渡す。そのため、シェルターで譲渡契約をしても、その場で引き取ることはできず、獣医の健康診断、予防接種、マイクロチップ、去勢を済ませて引き渡される。
そして、日本との大きな違いは、シェルターで引き取る場合も無料ではない。そのシェルターによって値段は異なるが、$100~$200ほど去勢、ワクチン、マイクロチップの料金がかかる。
日本で譲渡する場合「去勢してください」と言われるものの、「一度子供を産ませてあげたい!」や「思った以上に去勢代がかかる」など飼い主のエゴで引き取った後に去勢をしない人もいる。去勢は子供を作らないことはもちろん、性感染病、ケンカによる怪我予防にもなり、その猫の健康維持にも繋がる。
まずは、計画なくペットが子供を産み、それらが捨てられることを防ぐ。「殺処分禁止」をするには日本はまだその前の段階。まずは、絶対数を減らすことが重要だ。
シェルターで去勢を義務付けるには、行政、獣医、シェルターの連結が不可欠だ。まずはその部分を改善する必要があるように思える。
「シェルター=可哀そう」という感覚をなくす
日本の場合、「保健所」というと「可哀そう」なイメージがある。しかし、アメリカの場合、市が運営しているシェルターでも猫や犬は元気いっぱい走り回り、幸せそうに見える。
「殺処分される」イメージが先行しているため、日本では自分が飼っているペットをシェルターに持っていくことは少ない。そのため野良猫が増えることに繋がっているが、アメリカの場合、自分が飼っているペットをシェルターに持って行く人も少なくない。
その理由は「病気でペットの世話ができなくなった」「引っ越して飼えなくなった」などさまざまあるが、「ペットに新しい家族ができ、暮らせて行けた方が幸せ」と思っている人が多く、持ってくる人に事情を聴くこともなくシェルターは、そのペットたちを受け入れている。
それにより、捨てられるペットを増やすことがなくなる。またペットとして飼われていた動物を野良にしても生きていける確率は低いため、それらのペットたちの命を救うことにも繋がっている。
「殺処分」されてしまう場合は、また話は別になるかもしれないが、「シェルター=可哀そう」なイメージを払拭する必要があり、気軽に見に来れる、ボランティアできる、寄付できる、ペットはシェルターから引き取るのが当たり前の社会を作る必要がある。
日本の課題はまだ山積み
動物保護法が改正され、執行期間になっているが、法の抜け道も多く、まだまだ改正は必要。アメリカではペットショップに犬や猫はもういない(州により異なるが・・・)。まずは「法」だけに頼らず、ペットは「ペットショップ」で買うのではなく、「譲渡」するのが当たり前になる社会になることを心から願う。
文/舟津カナ