動物保護団体 犬猫譲渡を本格再開 飼育放棄増 マナー向上訴え | トピックス

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2021年12月7日 茨城新聞クロスアイ







新型コロナウイルスの外出自粛解除後、保護された犬や猫を新たな飼い主に引き渡す市民団体が、活動を本格的に再開している。譲渡会を長期間開けず、保護した犬猫が滞留したり譲渡できず団体が抱え込んだりして悩む例も目立つ。コロナ禍でペットを飼う人が増える半面、飼育放棄もあるとみられ、団体は会員制交流サイト(SNS)を活用し、譲渡数を増やすとともにマナー普及を訴えている。

■1年ぶり
茨城県土浦市の保護団体は外出自粛が明けた10月以降、市内外で譲渡会を再開した。子猫や子犬十数匹を1匹ずつ籠に入れ、性格や特徴を表示する。小学生の娘と訪れた40代男性は「猫を飼いたい。家族で相談してじっくり選びたい」と話した。


団体代表で県動物愛護推進員の鈴木佳代さん(54)は「自粛期間を含め譲渡会を約半年開けず、春に保護して育ち過ぎてしまった犬猫も多い」と指摘する。譲渡の時機を過ぎ、保護ボランティアが常時10匹ほど抱え込んで飼育する例があるという。

11月27日に小美玉市役所で開かれた譲渡会は1年ぶりの開催となった。県内には県への登録だけで50団体あり、未登録団体や個人も譲渡活動をしており、自粛明けに活発化した。鈴木さんは譲渡会を増やしながら、「里親探し」のサイトも活用する。


■安易な動機
コロナ禍では、自宅にいる時間が長くなり、ペットを飼う人が増加。保護犬猫の譲渡も増えた。一方で飽きて手放す人もいるという。

団体代表の女性(49)は「ネット動画を見て安易な動機で飼う人がおり、不幸な犬猫も出ている」と一過性のブームを残念がる。

各団体は、譲渡の際に家族構成や意見を聴取するなどルールを徹底。譲渡が決まれば試用期間を経て正式に引き渡す。引き取った人とはSNSで連絡を取り合う。

小美玉市の保育士、石川広子さん(37)は、家族5人で相談し、譲渡会を通じて6月に保護犬1匹を引き取った。「困っている犬を助けたいという思い。店で買う選択肢は考えなかった。子どもたちも喜んでいる。一緒に成長してくれれば」と願う。


■積極的に保護
県生活衛生課によると、2020年度に県動物指導センターに収容されたのは犬1063匹、猫1401匹。うち譲渡は犬915匹、猫1039匹、飼い主への返還は犬133匹、猫9匹、病死や殺処分は犬35匹、猫337匹だった。このほかに市町村が保護し団体に引き渡す例もある。

県や保護団体の努力で収容数は年々減少しているが、ある団体は「茨城はいまだ野犬や野良猫が多く、モラルや意識の向上は課題」と指摘する。


特に猫は繁殖年齢が早く、年間に産む回数も数も多いため、避妊去勢が不可欠という。家庭内で放置したために、最初3匹だった猫が3年間で100匹に増えた「飼育崩壊」の例もある。

各団体は、県や市の助成制度も使い、積極的に野良猫を保護し避妊去勢を施す。「地域猫」として育てる地域もある。団体代表の女性は「地域猫は耳をカットして避妊済みの印を付けて放す。『殺処分はかわいそう』だけでは問題解決にならず、避妊去勢の徹底や啓発、子どもたちへの教育が大事」と強調する。


県登録団体で、病気や衰弱した子猫を引き取り治療、譲渡する団体「ベビーキャットレスキュー」(東京)の菊地裕子代表は「譲渡後に死んでしまう例もある。飼う前にきちんと助言してくれる団体を選び、譲渡を受けるといい。命を救い受け入れる意識を共有できれば」と訴えた。