「神ボランティア」に賠償命令、犬猫を保護…実は虐待 大阪地裁 | トピックス

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2021年11月26日 毎日新聞







 行き場を失った犬や猫を無償で飼育していた京都府八幡市の女性(55)が、保護犬を劣悪な環境で死なせたとして、三重県の動物愛護団体の代表が慰謝料など計約145万円を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は26日、女性に約6万7000円の賠償を命じた。横田昌紀裁判長は、女性が適切に飼育する意思や能力を持っていないにもかかわらず犬を引き取り、衰弱させたと認定した。



 女性は約25年前から、各地の動物団体などで保護された多数の犬猫を自宅で育てる活動をしていたとされ、周囲から「神ボランティア」と呼ばれていた。


 判決などによると、三重県四日市市の動物愛護団体「つむぎ」は2016年、雄犬の「メロン」を保健所から引き取って保護。里親を募集してから約2週間後、手を挙げたこの女性に譲り渡した。


 判決は当時の女性の飼育状況について、資金難で体調を崩した犬猫を放置していたと指摘。適切に飼育する意思や能力がない中で引き取られたメロンは、劣悪な環境の中で衰弱死したと認めた。ただ、団体が女性に譲渡するまでの期間が短いことなどを理由に賠償額を低く算定した。


 判決後に記者会見した団体代表の服部千賀子さん(61)は「動物の無念をはらす結果になっていない。人間も動物も命の大切さは同じ。悔しい」と涙ぐんだ。団体側は控訴する方針。


 女性を巡っては20年、飼育していた約30匹が虐待され、一部はえさや水を与えられず餓死していたことが発覚。同年11月に動物愛護法違反容疑で京都府警に逮捕され、その後罰金30万円の略式命令を受けた。【芝村侑美】