2021年9月6日 JIJI.COM
トルコは7月から8月にかけ、異例の規模の山火事に見舞われた。北西部ブルサの農場には瀕死(ひんし)の状態で救出されたヤギや牛など家畜50頭以上が搬送され、スタッフが懸命の治療を施している。人間の都合で飼育され、傷を負った動物たちへの「恩返し」という。
「この子たちはこれまで人間に尽くしてくれた。今度は私たちが尽くす番だ」。農場のスタッフ、ズハル・アルスランさん(48)はイスタンブールでエステティシャンをしていたが、いまは愛犬と共に農場に住み込み、やけどから回復途上にある動物たちの世話をしている。
山火事はトルコ南部の地中海沿岸地域に燃え広がり、被害の範囲は14万ヘクタール以上に及んだ。住民ら8人が命を落とし、数千人が避難。一方で「数え切れないほどの動物」(アルスランさん)が死んだと推定される。
農場はトルコの動物愛護団体ハイタプが運営。火災で生き残った家畜を引き取った。このほか、地雷で脚を失ったとみられるロバなども保護している。トルコ人は動物愛護意識が高いことで知られ、運営資金は寄付で賄われている。(ブルサ=トルコ=時事)。