2021年8月7日 ラジオ関西トピックス
コアラをはじめ、たくさんの動物と出会える兵庫県南あわじ市の農業公園「淡路ファームパーク イングランドの丘」。夏休みシーズンを迎え、名物のひまわりがきれいに見ごろを迎えている。
同園では、来園した子どもたちが動物のアレコレについて質問できる「質問回収ポスト」があり、飼育スタッフがイラスト付きで回答。上手すぎるイラストとユーモアを交えた回答文がSNSで話題となり、「飼育員さんのすごいこたえ」(著:淡路ファームパーク イングランドの丘/ワニブックス刊)というタイトルで書籍化している。
この“飼育員さん”こと後藤さんが、このたびラジオリスナーの質問に回答。その一部をご紹介する。
まずは「イングランドの丘」の名物、コアラにまつわる疑問から!
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「コアラは縄張り意識が強いと聞きますが、人なつっこいですか?」
【後藤さん】 コアラは非常に縄張り意識が強い動物で、特にオスどうしは出会うと激しいケンカをします。もともと体力に余裕のない動物なので、無用なケンカを避けるために普段は大きな鳴き声を発することでお互いの距離や実力を図り合っています。一頭のオスが鳴くと周りのオスたちも鳴き返すんですね。その声の大きさや野太さなどで比べているようです。
また、人なつっこいかというと、実は全然なついてはくれず、基本的には毎日顔を合わせている飼育員に対してもさほど興味をもってくれません。
コアラは警戒心の強い動物で、見慣れない人が展示場に入ったりすると、あからさまに警戒するので、こちらを無視して眠り続けてくれるくらいがコアラとの友好な関係を築けている目安になります。
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「どうしてコアラはユーカリの葉っぱしか食べないのにうんちが黒いのですか?」
【後藤さん】 おもしろい質問ですね。肉食でも草食でも、たいていの動物たちのうんちが黒かったり茶色かったりするのは、役目を果たして体外へ排出される血液の成分が含まれるためなんですね。これは私たち人も共通です。動物たちのうんちは色も含めてその時の動物たちの健康状態を表しているので、飼育員にとって、とても重要なものでもあります。
ちなみにユーカリしか食べないコアラのうんちはやはりユーカリのにおいがします。
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「ヒツジの毛を刈ることがありますが、ヒツジは寒く感じることはないのでしょうか?」
【後藤さん】 当園でもいま40頭近くのヒツジを飼育しているんですが、今年も2名の担当スタッフで全頭の毛刈りを行いました。当園ではだいたい3月後半くらいから毛刈りを行うんですが、最初に刈られる子たちは夜間まだ少し冷える時期なので、風邪をひかないかよく心配されますね。毛を刈られたヒツジたちは、刈りたてはヒヤッとするかもしれませんが、すぐにスイッチが入って、皮下脂肪が1日で2倍の量になるそうなので、ちゃんと風邪をひかないんですね。
逆に毛を刈らずにいると熱中症を招くので、年に1回、梅雨の時期までには毛刈りを済ませてしまいます。
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「飼育員の人は長いこと飼育してたら動物が何を言っているのかなんとなくわかるもんですか? 僕がお母さんに怒られるように、たまには言うことを聞かず腹がたちますか?」(佑磨くん、12歳)
【後藤さん】 動物の種類によって感情を表情や行動で表現できるもの、声や音を出して表現するもの、一方で爬虫(はちゅう)類のように表情を作る筋肉がなく思考が読みにくいものなど、実に様々です。でも、毎日接していると、どんな動物のことでも不思議とわかってくるんですよね。
たとえば佑磨くんも、仲のいい友だちのことを初対面では何ひとつ知らなかったと思うんです。それが毎日顔を合わせるうちに、どんな遊びが好きか、好きな食べ物は何か、クセなんかも見えてくるかもしれないし、何をしたら喜んで、どんなことを言ったら怒るか、いろんなことが自然とわかってきますよね。それと同じ感覚です。新たな動物の生態を知ることは友だちが増えることに似ているのかもしれません。
また、「動物に腹がたつことはありますか?」という質問ですが、例えば掃除しているところに突っ込んできて散らかされたりすると正直腹が立ちますね。でも、動物たちは悪気があってやっていることではないですし、それを理解する概念がないので、腹は立っても決して理不尽に怒ったりはしません。
佑磨くんはお母さんがお掃除したあとに散らかして怒られないように気をつけてくださいね!
※ラジオ関西『PUSH!』2021年7月28日放送回より
■「飼育員さんのすごいこたえ」著:淡路ファームパーク イングランドの丘
発売:ワニブックス
発売日:2021年5月19日(水)
定価: 1,000 円+税 (税込み1100円)