2021年7月13日 時事通信ニュース
「被災地で、ペットの生きる場所を提供したい」。静岡県熱海市の土石流災害で住民らが避難生活を続ける中、避難者の飼い犬や飼い猫を一時的に預かる活動を、猫の保護活動をしている同市のNPO法人が始めた。今回の災害では避難先がホテルのため、犬や猫の受け入れができないという。
活動を始めたのはNPO法人「くすのき」(熱海市咲見町)。那須みか代表(60)は「近くの避難所にいるのに助けられない飼い主の心の傷をどうにかしたい」と思い、活動を始めたという。
那須さんによると、今も被災地には多くのペットが取り残されている。ホテルに避難中で、12日の一時帰宅で自宅から飼い猫数匹を連れ出した女性(51)は「複数の猫を飼っているため、一緒に避難できなかった。家の中で倒れている猫もいた」と話した。女性は猫を病院や「くすのき」に預けている。
くすのきは今回の災害で、犬と猫合わせて57匹を保護。いずれも伊豆山地区にいたペットなどで、飼い主が不明な犬猫も含まれるという。
熱海動物愛護病院(同市)の獣医師、高橋道広さん(52)は「災害時に動物をどうするかという取り決めをきちんとすべきだった。後回しになってしまっているのが現状だ」と話す。
被災地で動物のレスキュー活動をする「民間災害時動物救済本部」(CDCA)の西沢ひと美代表(57)は、避難所でのペットの鳴き声などにより、トラブルになる災害現場もあると指摘。「ペットと一緒に避難できるような仕組みが必要だ」と訴えている。