盲導犬ハーネス共同開発 セイバンと京都芸術大 | トピックス

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2021年5月16日 大阪日日新聞









 22日は「補助犬の日」。ランドセル製造の「セイバン」(本社・兵庫県たつの市)と京都芸術大(京都市)は、盲導犬のハーネス(胴輪)を共同開発した。固定化されていたデザインに新風を吹き込み、皮革のスペシャリストと組んで軽量化とフィット感、耐久性を向上。「衣類を着用するような感覚」のハーネスで、盲導犬とユーザー(使用者)の“二人三脚”をサポートする。

 盲導犬は1938年に日本に初めて紹介され、57年に国産盲導犬第1号「チャンピイ」が誕生。厚生労働省のまとめによると2020年10月末時点で、全国で909頭が稼働し、街中でも盲導犬を見かける機会が多くなった。ただ、ハーネスに気を留める人は多くはないのかもしれない。

 そこに着目したのが、同大プロダクトデザイン学科の大江孝明准教授。「ハーネスはいかにも“器具的”。デザインが行き届いてないところに手を付けて世の中に出していくのは、大学にとって大事なこと」と、16年から関西盲導犬協会(京都府亀岡市)と連携して、授業でハーネスのデザインに取り組んできた。

 学生には、デザインに取り組むのに向け、盲導犬ユーザーとの対話や暗闇での生活体験、アイマスクを付けての盲導犬歩行体験を実施した。当時学生で、現在はセイバン多角化事業部に所属する岡田有紗さん(25)は「犬のしぐさも器具を通して分かり、金具のノイズも分かったのは発見だった」と振り返る。

 岡田さんの就職を機に、18年から同社との共同開発に着手。本体は一般的な本革ではなく、ランドセルに使われる軽くて耐久性に優れた人工皮革を使用した。しっかり包み込むようなデザインで本体面積は広くなったが、重量は従来品の約半分の255グラムまで軽量化した。

 胴輪は、犬の背中や腹の角度によりフィットするように流線的な形に改良。ユーザーが持つハンドルは手の負担軽減にと握るタイプにし、手を離した時にハンドルが犬の背中にフィットするようにバーの長さと角度を工夫した。

 今年4月に完成した6個を、盲導犬を育成する関西盲導犬協会に寄付。評判は上々だという。商品化の予定はないが、同社は「ランドセル以外の商品を作るのは、大きなチャレンジになった」としている。

ミニクリップ 補助犬 身体障害者補助犬には盲導犬、介助犬、聴導犬がある。法に基づき訓練・認定された犬で、盲導犬は視覚障害のある人が街中を安全に歩けるようサポートする。肢体不自由な人の日常生活動作をサポートするのが介助犬、生活の中の必要な音を知らせ音源まで聴覚障害のある人を誘導するのが聴導犬。大阪では盲導犬が約60頭実働している。