「飼いすぎて手が回らなくなった」46歳の“自称占い師”58の動物を飼って逮捕された理由 | トピックス

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2021年4月25日 文春オンライン








 まるで動物の姥捨て山だった――。警視庁生活環境課は4月12日、動物愛護法違反容疑で東京都大田区の自称占い師、桑添亜紀容疑者(46)を逮捕。自宅から24種類、58匹・羽の動物が見つかった。

 警視庁担当記者の話。

「自宅は2階建ての一軒家。賃貸物件で、8年ほど前から暮らしていました。3年前に愛護団体から引き取ったのは犬2匹だけでしたが、避妊や去勢をせず、7匹に増加。加えて昨年からペットショップで動物を買い漁るようになり、一気に種類も数も増えたようです」

 桑添容疑者は調べに対し、こう供述しているという。

「新型コロナで趣味の海外旅行に行けなくなり、旅行費をペット代にあてるようになった。週に1回は掃除していたが、飼いすぎて手が回らなくなった」

 実際、保護された動物の半数以上が昨年4月以降に飼い始めたもの。だが「手が回る」と考える方がおかしいだろう。犬7匹、猫2匹、ハムスター2匹、インコ2羽、ウサギに至ってはなんと16羽。さらにハリネズミ2匹、モモンガ1匹、フクロウ1羽、イグアナ1匹、リクガメ3匹、ニシキヘビ2匹、オオトカゲ1匹、果てはワニ1匹まで。

 当然、エサも飼育方法もそれぞれ違うが、適切にエサやりをしていなかった疑いが濃厚だ。糞尿の世話もおざなりで、桑添容疑者の自宅には様々な動物の糞が2センチほど積み重なり、床を覆っていたという。


一般人が逮捕されるのはかなり異例

「昨年から悪臭が近所で話題になり、逃げた犬に人が噛まれたこともあったそうです。区の保健所が度々指導していましたが、状況は変わらなかった。世話を手伝いに来たボランティアが、あまりの惨状を見て今年3月に警察に通報。捜査が始まりました」(前出・記者)

 住民の窮状を思えば逮捕も当然かと思いきや、捜査関係者はこう指摘する。

「自宅で58匹・羽の飼育は度を越しているが、昔なら書類送検で終わっていただろう。動物が死んでもいないのに、一般人が逮捕されるのはかなり異例だ」

 実は、旧動物愛護法は動物の虐待に「罰金100万円以下」しか科していなかった。「1年以下の懲役」が加わったのは、法改正された昨年6月から。改正同法は去勢も義務づけており、警視庁は、従来はプロの繁殖業者に適用してきた「多頭飼育崩壊」をキーワードに捜査を進めた模様だ。動物虐待の検挙件数は11年に29件だったのが、20年には102件に急増しており、

「今後は一般人も逮捕される、という警鐘の意味合いもあるのだろう」(同前)

「糞の堆積状況から見れば虐待だと思う」と容疑を認めている桑添容疑者。保護された58匹・羽は当面、動物愛護団体などの世話に委ねられるという。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年4月29日号)