猫の秘めた能力「思い出忘れない?」、「物理法則を知っている!」 | トピックス

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2021年3月18日 讀賣新聞オンライン








 コロナ禍でステイホームの時間が増える中、ペットへの関心が高まっている。特に猫は、4年前に国内飼育数が犬を初めて上回って以来、リードを守り続けており、人の伴侶として不動の地位を築いたとも言える。猫の心に関する研究も近年進み、愛猫家の「猫かわいがり」はますます熱を帯びそうだ。

飼育数 犬を100万匹リード

 世の中には様々な派閥がある。中でも古今東西問わず、人類を二分してきたのがペット界の「犬派」と「猫派」だ。

 一般社団法人ペットフード協会(東京)によると、国内飼育数は調査を始めた1994年以降、犬が猫を上回っていたが、2017年に逆転。年々減る犬に比べて猫はほぼ横ばいで、昨年は犬に100万匹超の差をつけた。

 「05年の動物愛護法改正で、ブリーダーの規制が厳格化されたことが大きい」。同協会の石山恒会長(74)はこう話す。国内の犬は8割以上が純血種だが、猫は2割にも満たず、規制の影響を受けにくかったとみられる。

 コロナ禍の中、ペット需要は高まりをみせている。昨年、新たに飼われた猫は前年比16%増の約48万匹といい、「在宅時間が増える中、癒やしを求める傾向がうかがえる」と分析する。

興味深い実験

 「猫は思い出を忘れない」。猫派の心をくすぐるような研究成果を発表したのは、麻布大の高木佐保・特別研究員(30)(比較認知科学)だ。

 皿4枚を用意し、2枚に餌、1枚にヘアピンを置き、1枚は空にして、猫に1枚分の餌を食べさせた。いったん連れ出し、全て空の皿に交換して連れ戻したところ、食べ損ねた餌があった場所に置いた皿付近にとどまる猫が相次いだ。

 高木さんは「どこに何があったのかを覚えている『エピソード記憶』、つまり思い出を持っている可能性がある」と語る。

 推理能力もあるらしい。箱の中にスピーカーを仕込み、「ガラガラ」という音を聞かせながら箱を振ってひっくり返す実験で、中からおもちゃが出てくる場合と出てこない場合の反応を調べた。何も出てこない時は箱をじっと見つめていたという。

 「中に何か入っているはず」と推理していると考えられ、16年に学術誌で発表したところ、「猫は物理法則を知っている」と驚きをもって伝えられた。

 ただ、猫の研究は難しい。知らない人に囲まれると、文字通り「借りてきた猫」状態になるため、実験がうまくいかないそうだ。内心を伝える表情が乏しく、変化も捉えにくい。

 高木さんは「あちこちの『猫カフェ』に足しげく通い、猫だけでなく飼い主も一緒にリクルートして実験に参加してもらうなど苦労しましたね」と笑う。