2021年3月12日 BSN新潟放送
【東日本大震災10年プロジェクト つなぐ、つながる】震災を機にクローズアップされた、「ペットとの避難」について考えます。災害時に大切なペットをどう守るか。皆さんの備えはできていますか?※前編<被災犬 新潟での10年>からの続き東日本大震災を踏まえ2013年、環境省は初めてある指針を出しました。「同行避難」です。
同行避難とは、災害時に飼い主がペットを連れて避難所に行くことです。新潟では中越地震をきっかけに、全国に先駆けて県の防災計画に明記され、飼い主はペットと一緒に避難所へ行くことが原則とされています。しかし、ペットの受け入れ態勢が整っている避難所は数が限られていて、事前に市民に伝えている市町村は一つもありません。
【県福祉保健部生活衛生課 遠山潤課長補佐】
「市役所の計画には『ペットの同行避難に配慮すること』と書いてあるんですが、実際に個々の避難所で検討が進んでこなかった」ペット防災について、いち早く取り組んできた新潟でもまだ課題は山積みになっています。県はペットを連れた避難者を受け入れるための避難所運営マニュアルを作成中で、市町村に対して、ペットの同伴が可能な避難所を事前に公開するよう求めています。
【県福祉保健部生活衛生課 遠山潤課長補佐】
「連れていっていいかどうか悩まれるかもしれないんですけれど、まずは連れて逃げないと、自分とペットの安全が守れないということを考えていただきたい。ですので、そこは躊躇(ちゅうちょ)せずにまずは逃げる」新潟動物ネットワーク(NDN)の岡田朋子代表(55歳)は、災害時にペットと一緒に逃げるためには、飼い主の側の事前の準備も重要だと訴えます。
【新潟動物ネットワーク 岡田朋子代表】
「3.11で避難所にたくさんの毛布が配布されるんですけれども、残念ながら『ペットには使っちゃいけませんよ』って言われます。人間用の毛布はあっても、ペット用の毛布は自分で用意しなきゃいけない。愛情と責任を持って、万が一に備えることをぜひお願いしたいです」ペットの防災グッズを、実際に準備してみました。水やえさ、ペットシーツなど最低限必要なものに加え…。
【新潟動物ネットワーク 岡田朋子代表】
「シャンプータオルですね。匂いが付いてくると周りの方に迷惑になるので」避難先でのトラブルを防ぐアイテムも重要です。猫1匹分のグッズを入れると、リュック1つ分になりました。
【新潟動物ネットワーク 岡田朋子代表】
「ペットを守れるのは飼い主さんしかいない。そのために何をしたらいいのかっていうことを、一人一人の皆さんに考えていただけたらうれしいです」「サイダー、散歩だぞ」震災後、飼い主と離れ離れになった動物を、新潟市で保護している「あにまるガード」の桑原武志代表(33歳)です。
【あにまるガード 桑原武志代表】
「サイダーくんが来たとき、結構、やせていて。あんまりご飯も食べられなくて、ストレス…」福島で保護されたとき、やせこけていたサイダーくんは、今ではすっかりふっくらしています。新潟に来て10年。桑原さんたちのもとで幸せに暮らしています。
【あにまるガード 桑原武志代表】
「もうね、分かっていますよ。誰に散歩されているか、サイダーは。本当にいい子でね、相手に合わせてくれる子なので。『人大好きだよ』って」東日本大震災で、飼い主と離れ離れになってしまったサイダーくん。この10年、何を感じて、どう生きてきたのでしょうか。
【あにまるガード 桑原武志代表】
「大変な状況になっても、すぐに手放すとか諦めるとかしないでほしいです」飼い主としての責任は、災害時でも変わりません。災害時こそ責任が問われるのではないでしょうか。
【あにまるガード 桑原武志代表】
「後で迎えにくるということはせずに、可能な限り一緒に避難所に行くとか、避難をしてほしいと思います。ワンちゃん猫ちゃんにとっては、飼い主さんが全てだと思うので」大切な家族であるペットを守るために今、出来ること、やらなければならないことがあります。