鳴き声、臭い…ペット可避難所、運営に課題 | トピックス

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2020年11月3日 熊本日日新聞







大型で非常に強い台風10号が接近した9月6~7日、熊本市民の多くが避難した南区のアクアドームくまもとに、全国的にも極めて珍しい、ペット同伴可の避難スペースが初めて設けられた。飼い主から歓迎された一方、一般の避難者からは鳴き声や臭いなどへの苦情も相次いだ。また、屋内にトイレがない指定避難所も複数あった。今後の円滑な避難所運営に向け、解決すべき課題は少なくない。 


  10月初旬の市災害対策本部会議で、避難所へのペット持ち込みを巡る課題が報告された。市危機管理防災総室によると9月6日夜、アクアドームでペットと共に過ごした市民は371人。犬が116匹、猫37匹、鳥4羽、ウサギ2匹、ハリネズミ2匹、ハムスター1匹だった。 


  避難場所は、50メートルプールなどがあるエリアのプールサイド。空調設備があり、汚れても掃除しやすいことなどが理由だった。


  一方、アクアドームのエントランスホールには、521人の一般避難者がいた。エアコンがないため、プールエリアからの冷気を流し込もうと出入り口を開けたところ、ペットの臭いや鳴き声がホール側に届き、苦情につながった。

 「鳴き声が響く構造も影響した」と同総室。緊急事態下の“見切り発車”だったが、ペットも可の避難所運営の難しさが浮き彫りになった。 


 市民からは「各区に設けてほしい」という声が寄せられた。市は避難可能な小中高校や体育館などをすべて指定避難所としている。風水害の際、飼い主はペットも屋内で過ごせるよう希望するが、受け入れ可能な施設はない。 


  同総室は「人間の安全確保が優先。ペットを家族同様に考える人も多いが、場所の確保は率直に言って難しい」と頭を抱える。


  運営する職員の配置も課題だ。動物アレルギーや、恐怖感がある職員には担当させられない。今回は、興奮した犬に職員が手をかまれるケースが発生。伝染病の懸念も残る。


  一方、避難者側のマナーを指摘する声も。アクアドームに避難したペットのうち、犬以外はすべてケージなどに入れてあった。だが犬は3割ほどで、リードでつないでいない人もいた。市は動物愛護センターのケージを用意していたが、全く足りなかったという。市は「ペット同伴での避難に備え、ケージなどは事前に用意しておいてほしい」と訴える。(山口尚久)