「多頭飼育崩壊」という言葉をご存じでしょうか、ペットが増えすぎて飼い切れなくなる状況で、近所とのトラブルになったり、エサ不足で死んでしまったりするケースもあり、鹿児島県内でも問題となっています。
「緊急SOS、凄惨な現場です。恐らくネコたちは飢餓などの何らかの理由で死亡していると思われます」
鹿児島市内の女性がSNSにアップした投稿です。自分が保護して人に譲ったネコが、20数頭まで繁殖したというのです。きょうそのマンションを確認すると…
(記者)
「ネコが至る所にいます。みんな首輪をつけていません」
ベランダや給水タンクの上だけでなく柵をつたって別の部屋と行き来するネコも。午前中だけで少なくとも4匹が確認できました。
同じマンションの複数の住民によりますと、ネコを飼っていたのは30代とみられる女性です。3年前からネコが飼われていましたが、最近では20匹ほどまで繁殖。しかし、女性は先月、ネコを置いたままいなくなったということです。
(同じマンションの住民)
「昨夏から猫が(ベランダをつたって)16匹ほど来るようになった。」
「やせ細った猫が三匹くらいベランダから落ちていくのを見た」
(3年前にネコを譲り、SNSで現状を訴えた女性)
「譲渡したときに去勢の約束をしたのに守られなかった。悔しくて悔しくて、自分の責任を感じる」
今回はネコが増えすぎて飼育を放棄した「多頭飼育崩壊」とみられています。ペットが繁殖を繰り返し、飼育できなくなるほど増えてしまう「多頭飼育崩壊」。
ネコの場合、1回に5匹程度の子ネコが生まれ、その子ネコも生後6か月前後で繁殖が可能になります。栄養状態などの条件が整えば1匹で1年に3回程度まで繁殖が可能といわれています。
今回のケースの場合、女性はオス猫を1匹譲り受けた後、新たにメス猫を飼い始めたということで、そのネコたちがわずか3年で20匹ほどまで増えたとみられています。
イヌやネコの保護に取り組むNPO法人によりますと、多頭飼育崩壊に関する相談や情報は鹿児島県内でも年に10件ほどあり、年々増えているといいます。多頭飼育崩壊を防ぐためには、避妊・去勢手術が大切だといいます。
(犬猫と共生できる社会を目指す会鹿児島・杉木和子理事長)
「よくネズミ算と聞くが、猫もすごい繁殖能力を持つ。最初の1匹から1年で20、30匹になるのも稀ではない。だから、最初の1匹を(避妊・去勢)手術してあげることが大事」
また、増えすぎて飼いきれなくなってしまった場合は、時間が経てば経つほど状況が悪化するため、できるだけ早く保健所などに相談してほしいと話します。
(犬猫と共生できる社会を目指す会鹿児島・杉木和子理事長)
「そのまま置くのではなく、何かしら行動起こして例えば獣医や行政、ボランティア団体に相談すれば、早い段階で飼育崩壊にならないで済む。最後まで面倒見る覚悟もって引き取ってほしい」
新型コロナの影響で自宅で過ごす時間が増え、ペットがブームになっているといわれる一方で問題化している「多頭飼育崩壊」。
飼い主には生き物の命とどう向き合うのか、責任と覚悟が求められます。