シカやイノシシなど駆除した動物を動物園のエサとして活用します。肉の廃棄を減らすとともに、人の生活に害をもたらす動物=害獣について考えてもらおうという取り組みが、岩手県盛岡市動物公園で行われています。
18日は福岡県で捕獲され、処理場で頭と内臓、それに血を取り除いた後で低温加熱殺菌されたイノシシの肉およそ8キロが、ピューマのオス、タフに与えられる様子が報道陣に公開されました。
この取り組みは動物園の飼育員や大学の研究者などでつくる任意団体「Wild meet Zoo(ワイルド ミート ズー)」と動物公園が、研究の一環として行っているものです。シカやイノシシによる農業被害などが大きな問題となる中、団体によりますと、国内で1年間に捕獲された110万頭余りのうちおよそ9割が廃棄されているということです。取り組みはこうした肉を活用し、動物園で飼育されている動物たちにも野生に近い姿を取り戻してもらおうというもので、東北の動物園では初めての試みです。
動物園で育ち、毛皮つきの肉は初めてというタフ。初めは警戒した様子でしたが、慣れてくると皮をはいだり噛みちぎったりしながらイノシシの肉を少しずつ味わっていました。(飼育員・伴和幸さん)「動物園で暮らしている動物たちが、もっと元気に生き生きと暮らして行くためには、どんなことが必要なのかなということに、いつもと違う視点から見てもらいたい。身近な野生動物の問題を自分たちの問題でもあることに気付いてもらえたら」動物公園では今月28日に、駆除されたシカの肉をピューマに与える様子を一般公開する予定です。