諫早市高来町黒崎の山﨑雅明さん(71)宅にある箱形の郵便受けは、木工が趣味の山﨑さんが6、7年前に手作りしたものだ。 4月初め、手のひらにおさまるほどの草の固まりが中に入っていた。その時は何かわからずに捨てた。4月の終わりごろの夕方には、草が厚さ10センチほども敷き詰められていた。 山﨑さんは鳥の巣だと気づいた。郵便受けに「鳥が巣箱として使用中」という貼り紙をし、代わりの郵便受けを置いた。5月に入ると、親鳥が初めて姿を見せた。数日後に中を見ると、草のくぼみに卵があった。 日中、2羽の親鳥はひっきりなしに芋虫などのエサを運ぶ。まず近くの木にとまって様子をうかがい、郵便受けの屋根に移る。辺りを見回した後、差し入れ口から中に入る。すぐに次のエサを探しに出て行く。 5月の終わりごろからは、ひながか細い声で鳴くようになった。8羽は最初はくぼみにかたまっていたが、今は中で動き回っているようだという。 ひなの成長を楽しみに観察してきた山﨑さんは「初めはつるつるだったのが産毛みたいなのが生えてきて、今では羽が生えそろった。もうすぐ巣立つんやなあ。今度住むときは家賃をもらわないかんね」と笑顔で話している。(中川壮)
2020年6月8日 朝日新聞デジタル