世界最大の鳥類にして、飛べない鳥「ダチョウ」。そのチカラを感染症予防に活かそうと奮闘する獣医学博士の塚本康浩がドキュメンタリー番組「情熱大陸」(MBS製作著作/TBS系全国ネット、6月7日午後11時~)に登場する。
京都府立大学で鳥類の免疫学や感染症を研究し、獣医師としても活動、この春からは大学の学長にも就任した人物だ。
塚本が、長年研究対象とし、人生のパートナーと言ってはばからないのが「ダチョウさん」。そもそも研究者が少ない分野だが、その権威として知られている。中でも、ダチョウが身体に宿す「抗体」を取り出し、マスクやあめに含ませ、感染症予防に繋げるという独自の取り組みで注目を浴びてきた。
実はダチョウ、およそ200万年前から姿をほとんど変えていないと言われる原始的な鳥。カラダを守る力に優れ、病気にかかることも少なく、怪我の治りも早いのだという。塚本は「私は、ダチョウさんの力を借りているだけですから」といつも謙虚だ。
その研究室には、スズメやインコが。学内では大型鳥類エミューも飼育中。幼いころから無類の鳥好きで、その魅力を「自由で、元気で、ファンキーなところ」と語る。
新型コロナウイルスの影響で、学生がほとんどいなくなった大学の構内で、ダチョウと向かい合い、新たなウィルスへの予防策を模索する日々を見つめた。
<プロフィル>塚本康浩(つかもと・やすひろ) 1968年、京都府生まれ。4歳の時に巣から落ちたスズメのヒナを見つけてから、鳥に夢中になる。1994年、大阪府立大学農学部獣医学科卒業。大学院ではニワトリの研究をしながら夜は獣医として勤める。1996~97年 カナダ・ゲルフ大学獣医学部客員研究員。1999年、ダチョウ牧場「オーストリッチ神戸」のダチョウ主治医に就任。ダチョウの免疫力の高さに気づき、ダチョウ抗体の研究を始める。2005年、大阪府立大学講師、准教授に就任。2008年、京都府立大学大学院生命環境科学研究科教授に就任。京都府立大学発ベンチャー「オーストリッチファーマ株式会社」設立。ダチョウ抗体を用いたマスクを開発。2009年、産学官連携推進功労賞表彰「文部科学大臣賞」受賞。2011年、関経連関西財界セミナー特別賞受賞。2020年、京都府立大学学長に就任。