野猿の楽園として知られ、昨年9月末に休園した南伊豆町伊浜の観光施設「波勝崎苑(はがちざきえん)」が、「波勝崎モンキーベイ」として再開する準備が整った。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言の対象区域拡大で、4月24日に予定されたオープンは延期となったが、関係者向けの内覧会が行われた。(山中正義)
両脇を山に挟まれ、文字どおり「V字」の谷間。眼前には青々とした海が広がる。駐車場から海へ向かって歩いて下っていくと、餌をもらえると思ったのか、数匹のニホンザルが横をついて走る。海岸沿いの広場には数十匹のサルが集まっていた。
広場近くの建物内には歴代のボスザルの写真がずらり。屋内からせんべいやサツマイモなどの餌やりを体験できる。スタッフが餌を準備する様子も公開する。駐車場に併設された別棟では、マグネットや靴下などオリジナルグッズを含むお土産を販売している。
波勝崎苑は一九五七年にオープン。餌づけされた野生のニホンザル約三百匹と触れ合える人気の観光地だった。群れとしては東日本最大級で、サルと海を一緒に見られるのも珍しいという。
しかし、バブル崩壊後から来園者は減少。経営難に陥り、町からの要請を受け、河津町で体感型動物園「iZoo(イズー)」を運営するレップジャパン(静岡市駿河区)が経営を引き継いだ。再生に乗り出した同社は、売店などが入る老朽化した建物二棟の内装や、外装を改修した。
同社の白輪剛史社長は「東日本最大級の群れというだけでも来てもらう理由になる。サルを自然の中で観察できる貴重な場所として国内外に発信し、お客さんがここに戻ってくるよう頑張る」と開園を待ち望む。