豚熱の県内拡大止まらず イノシシ161頭確認 | トピックス

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2020年3月31日 中日新聞






◆「養豚場」対策は一定の成果


新型コロナウイルスの陰に隠れているが、豚熱(CSF)の感染拡大が県内で止まらない。県は三十日、藤枝市で感染した野生イノシシ一頭が見つかったと発表し、昨年十月に県内で初確認されて以来、野生イノシシの感染確認は計百六十一頭となった。これまで養豚場には広がっておらず、対策は一定の成果を上げている。

 CSFウイルスは伝染力が強く、排せつ物や感染した個体との接触でうつる。人には感染しない。愛知県などでは養豚に感染が確認され、全頭の殺処分を余儀なくされ、経済的打撃を受けた。

 県内では、藤枝市岡部町で初めて確認後、静岡や島田市などに拡大。二〇年一月には浜松市北区にも広がった。現時点では藤枝市での確認が全体の五割強、静岡市を含めた両市で全体の87%を占める。

 CSFの治療法はないが、ワクチンの有効性は実証済み。県内で養豚十万頭超にワクチンを接種した。養豚場は出入り業者や運搬車両からウイルスが持ち込まれないよう、消毒などを徹底している。

 感染した豚を食べても人体には問題なく、ワクチン接種による豚肉販売への影響はほとんどないという。県養豚協会の担当者は「生産者は感染防止をしっかり行っている。流通にも影響がなく安心している」と胸をなで下ろす。

 野生イノシシへの感染経路は判明していない。ここまで県東部での確認例はない。県と農林水産省は、感染状況や拡大経路を把握するため、野生イノシシの捕獲を強化し、捕獲の報酬として一頭当たり一万三千円を上乗せしている。

 県畜産振興課の吉田慎技監は「養豚場への感染拡大がなく成果が出ている。感染拡大に備え、危機感を持って対策を続ける」と話す。

(牧野新)