夫の死、寄り添ってくれた愛犬 「必ずそばにいてくれる」 | トピックス

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2019年2月27日 sippo






奈良市南部の住宅街。下川やす子さん(57)の家を訪ねると、真っ黒い大型犬が、さかんに尻尾を振りながら駆け寄ってきた。



雄のラブラドルレトリバーで、名前はラブ(6)。「今の私にとって生きがいです」。下川さんはそう、ラブをやさしく見つめる。

 ペットショップで、生後半年になっても売れ残っていた。ガリガリに痩せていたのを見捨てておけず、家に迎えた。誰からも愛されるように、ラブと名付けた。

 夫が朝晩の散歩を担当し、餌は下川さんがあげるように。シャンプーは2人がかり。てんかんの持病があるため、季節の変わり目などは要注意。夫婦に子どもはなく「子どもに近い存在」になった。

 昨年8月、2人と1匹の暮らしに突然終わりがきた。夫が肺炎のため、59歳で亡くなったのだ。ラブが、下川さんの寂しさに寄り添ってくれた。

「動物っていいですね。人の暮らしに、優しさを運んでくれる」


下川さんは、ラブの前に犬4匹、猫2匹を育ててきた。どの子も思い出深い。

 子どものころ、最初に飼った雑種犬のチロは、弟が拾ってきた。散歩中に事故で亡くし、ひどく後悔した。結婚後に夫とケンカした時、気持ちが落ち着くまで、ずっと一緒に歩いてくれたのはパル。ミニコミ誌で飼い主募集のお知らせを見て、引き取った犬だった。

 猫のポンタやチャチャとは、実家で一緒に暮らしていた。普段は素っ気ないのに、ふとした瞬間、「本当はあなたのそばにいたいの」とでもいうように、すり寄って甘えてくるのがかわいかった。下川さんが布団に入ると、いつも足元で丸くなって寝た。機会があれば、また猫も飼いたいと思う。

「猫は親友やきょうだいのような感じで、つかず離れず、でもいつも気になる存在。犬は、子どもやパートナーかな。必ずそばにいて、常に気にかけてくれる」。下川さんは、犬や猫との関係性を、そんなふうに表現する。

 犬や猫がいると、近所づきあいも深まる。散歩で顔見知りが増えたり、何げないペット自慢から、動物好き同士のネットワークが広がったり。もちろん、楽しいことばかりではない。どんな時でも散歩やトイレの面倒を見なければいけないし、動物病院の費用や餌代もバカにならない。

 それでも「人間だけでいるよりも、一緒に暮らした方が人生の幅が広がる」。だからずっと、付き合っていきたい。