擦り傷だらけの麻薬探知犬 新千歳空港でデビューへ | トピックス

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2018年12月17日 毎日新聞





顔に皮膚病の跡が残り、飼い主が見つからなかったラブラドルレトリバーの「クリスティン」(雌、1歳)が東京税関麻薬探知犬訓練センター(千葉県成田市)で4カ月間の訓練を受けて合格した。好奇心旺盛で草むらややぶの中に何度も入って擦り傷だらけになり、細菌性の皮膚病を患ったクリスティン。その性格は麻薬探知犬に合っており、1月から北海道の新千歳空港などで麻薬の密輸防止の最前線に立つ。

新潟生まれのクリスティンは体重27キロで、皮膚病の影響で鼻や目の周りの毛が抜けている。ブリーダーが飼い主になってくれる人を探したが、なかなか見つからなかった。一方で、遊び好きでにおいに敏感に反応する特性を見抜き、同センターで麻薬探知犬として訓練を受けさせることにした。訓練は今年7月末に始まり、麻薬を見つけると、ほめられ、遊んでもらえることを覚えさせた。最初に大麻で訓練し、においが弱い覚醒剤やヘロインを発見できるか試した。壁のすき間やスーツケース、体に巻き付いている状態でも探し出し、騒音の大きい場所や人が多い場所にも順応できるようにした。そして、合格率3~4割の試験を突破した。

 9月からは、麻薬探知犬とペアを組むハンドラーと呼ばれる税関職員と訓練を受け、相性を見ることになった。初めてハンドラーになる谷拓磨さん(26)はクリスティンを見た時、「顔は少し痛々しそうだったけれど、愛嬌(あいきょう)があって可愛い」と感じたという。さまざまな組み合わせを試した結果、10月下旬にペアを組むことが決まった。谷さんは「一緒に走るのが大好きで、人懐っこくて甘えてくれる。においを丁寧に探し、意欲が高い」と評価する。指導役の菊地昭洋・麻薬探知管理官は「クリスティンのおかげで(谷さんも)ハンドラーとして上達し、いいペアになった。空港や港と旅客のいる場所で活動するので、顔を見てびっくりさせてしまうという懸念もあったが、頑張っている姿を見て応援してほしい」と話している。

 クリスティンは今月13日に麻薬探知犬の認定を受け、14日に函館税関に配属された。1月中旬以降、新千歳空港や苫小牧港、青森空港などで活動する。谷さんは新千歳空港に近い北海道北広島市出身で、「縁のある土地で素晴らしいパートナーと一緒になり、日本の最前線での密輸防止に努め、使命をまっとうして薬物汚染防止に貢献したい」と意気込んでいる。クリスティンの散歩やえさやり、毛並みの手入れ、健康状態のチェックなどの世話もして、関係を深めていく。

 麻薬探知犬は全国に約130頭おり、8歳まで活動する。