<なるほど!さが法律相談>重い飼い主の責務犬の散歩中も細心の注意を | トピックス

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2018年10月23日 佐賀新聞ニュース




Q 犬と公園で散歩中、公園を散歩していた方が「かわいいですね」と言って、近づいて来られて、うちの犬を触ろうとしたところ、犬がその方の手をかんでしまい、けがをさせてしまいました。向こうから犬を触ろうとしたのに、私の方で治療費などを支払う義務がありますか?

 A 犬を飼う以上、飼い主には、人に危害を加えないようにする義務が課されます。

 飼い犬が、大型犬になるほど、また、一般的に気性が荒いとされる犬ほど、飼い主に課される義務は重くなります。そして、過去の裁判の中には「飼い主はここまで注意して犬を飼わなければならないのか」と思うような義務を飼い主に課したものもあります。

 犬の散歩中、通行人が飼い主と会話をした後、犬を触ろうとすることは、よく見かける光景であり、珍しいこととはいえません。そのため、少なくとも、飼い主としては、犬が他人に危害を加えそうになった場合には、リードを引っ張ったり、間に入って犬を止めるなどの行為をして、犬を止めなければならない一般的な義務があるといえます。よって、その義務を怠り、犬を触ろうとした人を犬がかんでしまった場合には、治療費を支払わざるを得ないケースが多いといえます。ただし、犬の状況(大きさ、性格、年齢など)、飼い主の状況(散歩態様、他人が犬に近づくことを予想できたかなど)、触ろうとした方の状況(犬の嫌がるさわり方をしていないか、その犬や飼い主と顔見知りかなど)、場所(人通りの多さなど)など、実際のケースによって、判断は大きく異なってくるので注意が必要です。

 もし犬が人をかんでしまった場合、犬にかまれてしまった方は被害者ですが、人をかんでしまった犬がすべて悪い場合ばかりではありません。そのような、不幸な事態を招かないためにも、飼い主は、細心の注意を払って、犬を飼育しなければならないといえます。

(弁護士 角崎龍介 小城市)