獣医師ら診察、トラウマの被災ペットも | トピックス

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2018.7.30 21:05更新  産経WEST

 

 

 

 

避難所で行われたペットの出張診察=22日、岡山県倉敷市真備町地区の二万小

避難所で行われたペットの出張診察=22日、岡山県倉敷市真備町地区の二万小

 

 岡山県倉敷市では、獣医師らが西日本豪雨で被災した犬や猫などを無料で診察するなど、ペットへの支援の輪が広がりつつある。災害でトラウマを抱えたペットに対する心のケアは短期間では難しく、ペットにとって安定した環境の必要性を訴える声も上がる。

 

 22日午後、避難所となった倉敷市真備町地区の二万小に、ペットを連れた被災者が続々と訪れた。「変わった様子はないですか」。獣医師4人が聴診器を当てて診察したり、感染症予防のワクチンを注射したりした。

 

 浸水した自宅の片付けの合間に愛犬のプードルを連れてきた真備町地区の会社員、脇山恵さん(41)は「大事な家族の一員。かかりつけの病院が開いていないので本当に助かる」と笑顔だった。

 

 県獣医師会によると、豪雨後、往診を2日間実施し、160匹以上の犬や猫を診てきた。今後も当面は週に1度、避難所での出張診察を続ける方針だ。同様の動きは民間にも広がり、千葉県市川市のペット関連企業も無料診察を実施した。

 

 一方で、ペットの心のケアを訴える人も。真備町地区の障害者施設職員、山口拡さん(70)の愛犬ポンタ君は豪雨の時、自宅の外につながれていた。2階建ての1階部分が水没し、犬かきで庭の木にしがみつこうと必死にもがいていたところを山口さんが助け出した。

 

 その後はあまり食欲がなく、物音に敏感で、音がするとすぐ逃げ出してしまう。山口さんは「精神的に不安定になっている。人間は話すことで気が楽になったりするが、犬はそれができない」と心配する。

 

 ボランティアでペットの診察に当たった獣医師、鈴木信吾さん(28)は「過去の災害でもストレスから体調を崩す犬や猫が多かった」と明かす。トラウマになっても応急的な心のケアは難しいといい、「落ち着いて生活できる環境を早く整えてあげるしかない。状況によってはペットホテルや一時預かりも活用してほしい」としている。