実験動物なしで薬の効果を確認 島根大、ソフト共同開発 | トピックス

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杉山高志

2018年7月6日13時00分  朝日新聞DIGITAL

 

 

 

写真・図版

ソフトの説明をする島根大医学部とイーグリッド社の関係者=2018年6月28日、島根県出雲市

 

 

 島根県出雲市のIT関連企業「イーグリッド」(小村淳浩社長)が、島根大学医学部と連携して薬理学実習で実験動物の代わりとなるユニークなシミュレーターソフトを開発した。同大ではモルモットなど実験動物の殺傷を減らし、購入費用も抑制できるとして、早ければ今秋にも授業に活用したい考えだ。

 

 開発したソフトは、薬理学実習シミュレーター「Pharmaco(ファーマコ)―PICOS(ピコス)」。実験動物によるデータの蓄積をプログラムに組み込むことで、実際に動物を使わなくても、iPadの画面上の操作で、薬物を投与した際の動物の心拍数変化や筋肉の収縮変動といった効果や作用が、動物のアニメーションや動く波形などとともに表示される。臓器の状態や薬物の効果などが観察できるようになっている。

 

 今月から医療関係の教育機関向けの販売も始まっていて、販売価格は5人分(5台分)を1ライセンス契約として約200ドルという。

 

 薬理学は医学部の必須授業で、モルモットやラット、マウスなどを使って、複数の薬物を投与し、臓器や血圧、腸管などへの効果や影響などを学ぶ。

 

 ただ、同大によると、モルモットは1匹約8千円、ラットも約千円するといい、高価だ。このため実際に動物を手にして実習できる学生は30人に1人程度で、ほかは見学という状況も多いという。

 

 また、海外では動物愛護の観点から生きた動物を実験に使うことに根強い批判もある。同社は動物愛護活動が活発なアメリカでの需要も見込み、出雲市の「医工連携支援事業」として3年ほど前から開発を進めてきたという。

 

 島根大医学部薬理学講座の和田孝一郎教授は「不測の事態に対応する能力も身につける必要があり、生きた動物をゼロにはできないが、(シミュレーターで)多くの学生が実質的に実験に参加できるのはいいこと」と話している。

 

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(杉山高志)