野良猫と地域猫 人と共生するために | トピックス

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2018年4月28日  TOKYOWeb

 

公園でいつも決まった時間に住民から餌をもらう猫

 

 

 地域猫と野良猫。この違いをご存じですか? 猫ブームもあり、関心を寄せる方も多いと思います。

 

 野良猫とは、飼い主のいない猫をいいます。最近野良猫が増えて困っているという話をよく聞きますが、増える際の典型的な例を一つ紹介します。避妊・去勢をしていない猫を放し飼いにするケースです。

 

 屋内外を行き来できる猫は、自由に繁殖活動を行います。雌の場合望まれない命を宿すこともあります。産み落とされた子猫の多くは捨てられ野良化します。この子猫たちは当然避妊・去勢していません。交尾・出産は繰り返され、際限なく増殖していく-というわけです。

 

 野良猫を増加させる原因が、飼い主のモラルの欠如や知識不足にあることがよく分かるかと思います。

 

 この問題に積極的に乗り出した自治体もあります。例えば、仙台市です。

 

 同市は2006年、「動物愛護行政の基本指針」を策定しました。行政、ボランティア、動物病院などが連携、協働し、動物愛護施策を推進するためです。「飼い主のいない猫」について捕獲、避妊・去勢手術を施し、元の場所に放して「地域猫」とし、住民とともに管理していくと定めています。

 

 地域猫活動の目的は、「野良猫の減少」と「地域社会における猫と人間の共生」です。しかし、活動に対する市民の認知度はいまだ低いのが現状です。地域猫による管理は野良猫を減らす最良の策と思います。活動の普及により排せつ、繁殖、餌やりなどの問題が改善していくはずです。

 

 猫にとっても、活動を通じて新たな飼い主を得て、飼い猫として幸せな生涯を全うするという新たな選択肢が生まれるのです。

 (成沢千香=獣医師、専門学校講師)