2018年4月12日 中日新聞
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予防注射会場で作戦の説明を聞く参加者=尾張旭市平子町の平子公民館で
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路上に放置された犬のふんを減らそうと、尾張旭市は、ふんの周りに円を描いて飼い主に処理を求める「イエローチョーク作戦」を始めた。
この作戦は京都府宇治市が二〇一六年に始めた。ふんを放置した飼い主に、ふんで困っている人の存在を気付かせて自主的な回収を促す。ふんの周りを黄色いチョークで囲み、発見日時を書き残すだけという手軽さだが、効果はあるという。
尾張旭市は、ふん被害の相談があった向町周辺と、桜ケ丘町のはんのき歩道周辺の二カ所で、一月と二月に実験した。
週に一日、同じルートを歩き、ふんの状況を記録。向町周辺は、十カ所あった放置が二カ所に。はんのき歩道周辺は逆に、四カ所から五カ所に増えた。
周りを黄色いチョークの円で囲んだ放置ふん=尾張旭市桜ケ丘町で
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はんのき歩道周辺で増えた理由は、植え込みの中のふんが多いため印を付けるのが難しく、ふんから離れたところに矢印などを付けても分かりづらかったため、効果が出にくかったと分析。路上のふんが多い向町では印が目立ちやすかったとみている。
実験した市環境保全指導員、黒木司さん(67)=同市東大道町=は「最初は(市が)片付けてくれないのかと苦情があったが、二回目に一気にふんの数が減った。ただ、このためだけに歩き回るのは結構大変だと思う」と話した。
四月からは犬の飼い主に協力を要請。散歩中に見つけたふんに円を描いてもらい、作戦を市全域に広げた。住民同士による自主的な取り組みにつなげることを狙っている。
同市役所でチョークを配布するほか、四日から始まった狂犬病予防注射の各会場で、作戦を説明している。十一日までに二十五人がチョークを持ち帰った。
平子町の平子公民館の注射会場で説明を聞いて作戦を知り、協力を決めた三郷小五年、鈴木誉人君(10)=同市瀬戸川町=は「犬がしたうんちを違う人が踏んだり、犬がなめて病気になったりしたらダメ」と話した。
市は協力者のアンケート結果を六月中にまとめ、本格導入を検討する。
(菅谷仁志)