家じまいの作法 「大切な家族」ペット飼う責任 | トピックス

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毎日新聞

 

 

 突然ですが、動物はお好きですか。私は大好きです。この写真は私の実家で飼っていたコーギーのボンゴ君。4年半前に死んでしまいましたが、大切な家族でした。

 高齢の方たちの中にも、犬や猫を家族として暮らしている方はたくさんいます。ペットは心をいやし、人生を豊かにしてくれる存在であることは間違いありません。ただ時に悲劇が起きてしまうこともあります。

 

 6年ほど前、兵庫県内の県営住宅に遺品整理に行った時のこと。高齢の夫婦が部屋の中で相次いで亡くなり、2週間後に発見されたという部屋でした。薄暗い室内には大量のゴミ。それを拾い集めていた私が、リビングの机の下に手を入れた時です。「ん?」。何か柔らかいモノの感触におそるおそる懐中電灯を向けると、何とガリガリに痩せた犬の死骸でした。おそらく世話をしてくれる人がいなくなり、部屋からも出られず餓死してしまったのでしょう。

 

 生きたままのペットが遺品整理の現場に残されているケースもあります。相続人が連れ帰ってくれる場合はいいのですが、「うちでは飼えないから」と放棄されることも。私たちで里親探しをしているNPOに相談したり、従業員が連れ帰ったりすることもありますが、限界があります。なすすべ無く、保健所に連絡された方もいました。

 

 生前整理で出会ったある高齢女性は、愛犬をなでながらこんなことを言っていました。「私は1人だし、この子のことはご近所さんにお願いしてあるの。餌代として30万円準備してあることも伝えたわよ」。自身の死後、面倒を見てくれる人をあらかじめ決めておくこと。そしてそれをきちんと相手に伝えること。彼女から大切なヒントを教わりました。

 

 ペットを飼うには重い責任が伴います。その子たちの命が尽きるまで放棄しないという責任を果たしてこそ、大切な家族だと言えるのではないでしょうか。(一般社団法人「心結」代表理事、おかたづけアドバイザー 屋宜(やぎ)明彦)=第3金曜掲載